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唐揚げ定食
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(しまった!そういう手があったか!)
幸希は悔し紛れに口に唐揚げを放り込んだ。
「美味しい?」
口一杯に頬張る幸希とは対照的に男は蕎麦を啜っていた。
「はい…。…蕎麦だけですか…?」
「うん。昼は軽めにしてるんだ。」
(女子か!?)
ケッと思いながら、幸希は男らしさを見せようとご飯をガツガツ口に入れた。
(なんで唐揚げなんだ…?)
ふと、昨日も唐揚げ弁当だったことを思い出した。
「あの…なんで唐揚げなんですか?ここの1番人気ですか?」
男はきょとんとした顔をして、蕎麦を啜った。
「だって君、唐揚げ好きだろう?コンビニでもいつも唐揚げ弁当だし。」
「えっ…あっ…まぁ。」
(そんないつもこの人がコンビニいたっけ?)
「今、こんな人いたっけって顔したでだろう?」
鋭い眼光に幸希は狼狽えた。
「いや、だって店員さんとか見ないから!」
男はふっと息をついて、背もたれに背中をつけた。
「だろうね。いつも財布とレジしか見てないもん。」
「す、すみません。」
(普通そうだろう!)
「冷めるよ。」
「は、はい。」
幸希は居心地の悪さを感じながら、大きな唐揚げを頬張った。
(早く食って解放してもらおう。)
ちらっと見ると男は蕎麦に手をつけずに幸希を見ていた。
(味しねぇ〜〜!)
とにかくこの拷問のような昼ご飯を終わらせようと幸希はお茶で流し込んだ。
「ご、ご馳走様でした。」
(今夜はスーパーの唐揚げ食べよう…。)
胸に鳥がつっかえているんじゃないかと思うくらい、苦しかった。
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