アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
どうしましょう?
-
(どうしよう…)
レシートの番号の羅列を見ながら呟いた。
それから机に積まれた書類を見て、んでもってズボンのポケットに入った財布を叩いた。
そこでようやく、幸希は溜め息をついた。
(このままでは仕事が手につかない…)
まず、なにから始めればいいのかわからなかった。
仕事をしようにも頭にレシートが浮かび、何か食べようにも財布を開くと野口英世氏が4人並んで見てくる。
(どうしよう〜〜)
きっと彼はいい人なんだろう。ポテトチップスにしろ、唐揚げ弁当にしろ彼の好意は見えた。
しかし、合点がいかない。
なんでこんなにも俺と関わりたがるのか?
「この前行ったあの大学、結構有名らしいぞ。そういえばみんな頭良さそうな顔してたもんな〜。なんだっけ?心理学?そういうのも有名な先生がいるって、娘がいってたよ。」
みんなで昼飯を食べている時、伊田がそう言っていた。
それを聞いた時、幸希は箸を止めてしまった。
(もしかして、俺はなんらかの実験をされているんでは…?)
確かに高卒の自分はあいつには馬鹿っぽく見えたのだろう。
(だとしたら…やっぱり連絡なんてしたら、あいつの思い通り…でも…)
幸希はポケットの財布に触れた。
(あの唐揚げ定食が364円のはずないし…)
正直、関わりたくない…。
大酒を呑むと記憶がなくなるので、若い頃はしょっちゅうイザコザがあった。携帯のメモリーも知らない人ばかりだった。
今はセーブの仕方を覚えた。適度に呑んで一夜過ごして、先に帰ればいい。
(この前はちょっと失敗したが…)
それにこの年で新しい人間関係を作るのも億劫だった。
(人間関係ってチャレンジだよな…)
再び番号を見つめた。
「雨宮さ〜ん。コーヒーどうぞ〜。」
「えっ?」
振り返った瞬間、頬熱いものが触れ、幸希は飛び上がった。
「あちぃぢ!!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 151