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オトナの木登りタイム
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声をかけてきたのは金に近い髪色にウエーブのかかった、顔立ちも派手な男だった。
「よかった、早く来てくれて。あっ、俺、実行委員会の楷 仁平(かい じんぺい)っていいます。仁平って呼んでもらってイイっすよ。」
楷の軽いノリに幸希は閉口し、金田はムスッとした。
「じゃあ、ちょっちこっちにいいっすか?」
楷はウインクをして、2人を案内した。
「この木にイルミネーションして欲しいんっすよ。」
「…。」
目の前には立派な大木が立っていた。
看板には樹齢80年と書かれている。
(登るのか…)
幸希は子どもの頃以来の木登りにめまいがしそうだった。
すると頭の薄くなった男性が声をかけてきた。
「あれ?電気屋さん?丁度よかった。今、職員室の電球が切れてね。手が届かないトコだから交換してくれないかな〜?」
幸希はハッとした。
(校内に入ればあの子に会えるかも!いや…でもこんな危険な仕事を後輩にやらせるのは…)
「雨宮さん?俺、ここしましょうか?」
小さな金田くんが覗き込んできた。
「ゼェゼェゼェ…」
幸希は次にどこに足をかけるか考えながら、LEDのイルミネーション用の電球を引っ張った。
「もう少し右です。そう、そこです。」
下から聞こえる楷の声は遠くなった気がした。
「これで…ラスト…」
幸希はあらゆる筋を伸ばし、ようやく電球をつけ終えた。
「オッケーでーす!」
楷の声が下から聞こえ、見ると大きく腕で丸を作っていた。
幸希はホッとして、木から降り始めた。
行きはヨイヨイ、帰りはコワイ
(やばい…)
登りはよかったが、降りるのは幹は滑るし、身体は重力に引き寄せられた。
「か、楷さん。うちの金田くんまだかな?」
「えっ?」
楷は辺りを見渡して、「まだっす」といった。
(ハシゴ、渡しちゃったからな〜)
太陽が傾き、辺りの色が変わってきた。
幸希は急に下を見るのも強くなった。
「電気屋さ〜ん?」
幸希はブルッと震えた。
(あと少しなのに….早く降りなきゃな…この高さなら受け身さえちゃんととれば…)
「楷さん、ちょっと離れてて下さい。」
幸希はギュッと目をつぶった。
(5からにしよう。5、4、3…)
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