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無理な木登りはやめましょう
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「飛び込め!」
聞き覚えのある声に幸希はハッと目を開いた。
「なっ…」
「早くしないと、見世物になるぞ。」
下には長身の男が両手を広げていた。
「か、勝谷くん…?」
「大丈夫。受け止めるから。」
幸希はゴクリと唾を飲んだ。
「あ、危ないよ。下がってて。俺は…」
「ゴチャゴチャいってないで、飛び降りろ!」
気迫押され、幸希はギュッと目を閉じて、木から手を離した。
「わっ!」
身体に痛みはなく、温かさに包まれていた。
「っと…ったく…」
そっと頭を撫でられ、幸希は目を開けた。
(いい匂い…)
その人の首筋がすぐそこにあり、身体はきつく抱きしめられていた。
(やばい…この身体の厚みタイプかも…)
無意識に幸希の手が男の背中に回りそうになった。
「雨宮さん!!」
(はっ!?)
金田の声で幸希は現実へと戻った。
金田は猛ダッシュでこちらに向かって来て、勝谷から幸希を剥がしとった。
「何が起こったんですか?」
「いや…あの…」
幸希は降参と両手を挙げた。
「楷。」
勝谷の低い声が静かに響いた。
「な、なんだよ?」
「こんな時期外れのイルミネーション、誰が喜ぶんだよ。今度、こんな企画打ち出したら、実行委員会から外れてもらうからな。」
「…。」
睨まれた楷は恐怖のあまりか青い顔になった。
「お、俺がいけないんです!急に足がすくんじゃって!いつも高所で作業してるのになぁ〜。楷さん!すみません!」
幸希は楷に頭を下げた。
「いや…」
「イルミネーションなんて素敵ですよ!いい新緑祭になりますよ!」
幸希が渾身の笑顔を振りまくと見る見る楷の顔色が良くなってきた。
「あ、ありがとう!電気屋さん!」
楷に手を握られたまま、振り返ると勝谷はもう後ろ姿だけで、周りの女の子たちが群がっていた。
(また…ありがとう….いえなかった…)
「いい加減、雨宮さんの手を離して下さい(怒)楷さん。」
「あっ、えへっ☆あんまりにも嬉しくて…もうちょっとだけ…」
「(怒)!!」
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