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ジンベイザメくん
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「あっ….確か…」
だぼっとした大き目のズボンを履き、”輝け!青春の味!新緑祭”よくわからない言葉の文字が入ったどピンクのTシャツを来た金髪の男が手を振りながら近づいてきた。
「やっぱり、電気屋さんだ!私服だと全然わかんないですね!」
「あっ…君は…」
(確か…)
幸希は頭をフル回転させた。
「ジンベイザメ君!」
近づいてきた金髪がわざとらしくガクンと肩を落とさした。
「仁平(じんぺい)ですよ!楷 仁平!」
「あっ…実行委員の楷さん…でしたね。」
「いや!ジンベイザメでいいっすよ。俺、気に入ったし!あっ!もう1人の電気屋さんもいる!」
「…どうも…」
金田は見つかってしまったというような顔で幸希の後ろに隠れた。
「こんなに連れてきてくれたんですね。」
楷はみんなの顔をぐるりと見渡した。それを見た幸希は木下の脇腹を突いた。
「あっ?あぁ、今回はお招き頂き、有難うございます。チラシ持って来てくれた方ですよね?」
「あっ、うん!じゃあ、みんな同じ会社の人なんですか?」
「えぇ…まぁ…。そうなんです…。」
楷の人見知りのないフランクさに圧倒されたのか、木下は何度も眼鏡を押し上げていた。
「イルミネーションはどうですか?」
幸希は空気を変えようと口を開いた。
「評判いいですよ!電気屋さんのおかげですよ。」
楷が大きな笑顔を見せると石渡がサッと名刺を差し出した。
「またご用命の際は、お電話ください。」
「あっ、はい。電話しまぁーす。」
楷はなんの疑問も持たず、笑顔でその名刺を受け取った。
「…俺の仕事は終わったぜ…」
石渡はぼそりと呟き、またしても幸希の後ろに下がった。
「じゃあ俺、ちょっと今から準備あるんで。失礼します。」
「あっ、はい。すみません、引き止めてしまって。」
「いやいや、俺から声掛けたんですから。あっ、そうだ。」
楷は思い出したかのようにポケットからスマホを取り出し、パシャリと撮影した。
「はっ…?」
「電気屋さん、御一行…と。じゃあ、あと楽しんでいってください〜。」
楷は手を振りながらその場を離れていった。
「嵐のような子だったな….。」
石渡は欠伸を噛み締めながら、呟いた。
「でもなんか〜ジャニーズの子みたいでカッコ良かったぁ〜。私もなんか話したかったぁ〜。」
竹下が甘ったるくいうと金田がイラついたように舌打ちをした。
「なんならついて行けば良かったのに….。」
「なんか….最近の子はすごいね〜。」
呆気にとられている木下の肩を石渡は豪快に叩いた。
「木下、なんかおじいさんみたいになってるぞ。おい、クレープ美味そうじゃねぇ?食べようぜ!」
「わぁ〜い!石渡さんの奢りですね〜。」
くる回りながら金田がいち早く走り出した。
「太っ腹だな〜。流石、独身貴族。行こう、ユキちゃん☆」
「私、イチゴ生クリームアイスのせにチョコレートかけでお願いしますぅ〜〜!」
その後を木下が竹下を連れて、金田の後を追った。
「(1番安い)チョコバナナにしろよ!!」
走る石渡の後ろ姿を幸希はゆっくりと歩きながら追いかけた。
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