アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
新郎を探しています〜〜
-
「…なんで名前を?」
幸希は振り返った新郎に感嘆のため息をついた。
(こりゃあみんな振り返るわな)
今日は長めの前髪を横に流していたので、切れ長の目も綺麗な顔立ちもよくわかった。
「なんか実行委員会が新郎を探してるってよ。」
曲がり角から声がして、勝谷は幸希の手を取り、目の前にあった教室に連れ込んだ。
「なっ!!」
「しっ!黙って。」
口を押さえられ、ドアを背に地べたに座らされた。
入った教室には誰も居らず、今日は使用していないようだった。
「はぁっ?なんじゃ?そりゃあ?」
「わっかんねぇ。おい、そういえばあの子誘ったか?」
「いや…それがさぁ〜〜」
段々、声が小さくなっていった。
「ンッー」
幸希が口を押さえられたまま、頭を左右に振っていると勝谷は口元に長い人差し指を当てて、強い眼差しで見てきたので、幸希は今度は頭を上下に動かした。
「はふぃっ〜。」
ようやく解放され、幸希は大きく息を吸った
「で?なんで名前を知ってるの?」
(謝らんのかい!?怒)
幸希は怒りを露わにしながら、胡座をかいた。
「何でって。この前、ジンベイザメくんが君のことそう呼んでたし。」
「ジンベイザメ…?あぁ、楷の事か…」
ふむふむと頷きながら、勝谷は顎に手を当てた。
(あっ…)
幸希はふとあの時、助けてくれた事を思い出して、膝を揃えた。
「あの…」
「ん?」
「あの時は助けてくれてありがとうございました。あとこれ…」
幸希はゴソゴソポケットから折り曲がった茶封筒を差し出した。
「何これ?」
「あっ、あの…この前、慰謝料や定食代で払ったはずの5千円…いや、実際には4864円なんだけど…でも君が4500円また返してきた…ん?あっ、えっと…とにかく4500円入ってるから受け取ってください!」
頭を下げた幸希がちらりと目を上げると、勝谷はつまらなそうな顔をしていた。
(とりあえず渡して、ここで終わらせたい!)
「すいませんでしたぁ〜!」
心のこもっていない謝罪をしても勝谷は封筒を受け取らなかったので、幸希は封筒を押し付けるように勝谷の手に握らせた。
「…なんでわかんないかな…」
ため息まじりに受け取りながら、勝谷は呟いた。
「…はぁ…?と、とりあえず帰りましょう?みんな探してるみたいだし、服も汚れますよ。」
幸希は立ち上がって、片膝を立てて座っている勝谷に手を差し出した。
(このままじゃあ俺、誘拐犯にされかねんからな)
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
31 / 151