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バイトの時間
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”あの人に私この前、焼き鳥屋さんで話し掛けられたんです。勝谷くんがあの人と学食に居たのを見かけたこともあったから、つい話をしちゃったんです。”
”それで?なんの話だったんだ?”
まさかナンパでもしたのか!?
”なんか…勝谷くんの連絡先教えて欲しいっていわれて…。”
”連絡先?”
失くしたっていってた…。
”学食を奢ってくれたお礼がしたいからって…。すごく必死な感じで聞いてきたんだけど、私も一緒にいた子も勝谷くんの連絡先知らなかったから教えてあげられなかったんです。だから…またそういうことあったら可哀想だから…連絡先教えてくれませんか?”
”えっと…080××××××××。ちなみにどこの焼き鳥屋?”
里見ははぁ〜とため息をついた。
(しくじった…)
「じゃあ今度みんなで行きましょう!」
パアッと輝いた彼女を見たとき、ようやく自分の失態に気がついた。
(あの人の事になると駄目だな…何にも考えなく行動しちゃう…)
ペロリとあの人に噛まれた唇を舌で舐めた。
(痛かったしか、感想が残ってない…)
昔、そんなに好きではなかったが、告白されたから付き合っていた女の子たちはフワフワして、柔らかかった。
しかし、あの人とようやく出来たキスは噛まれたし、ほんの一瞬だったけど、熱くて、貪りたいような唇だった。今度はそっと唇に手を当てた。
(なんで…あんな事言ってたのに俺の連絡先を聞き出そうとしたんだろう…?もしかして。連絡くれようと必死になってくれたんだろうか…?)
そう思うと嬉しさと後悔がせめぎ合って、胸が苦しくなった。
「勝谷さん!」
ハッとして里見は寄りかかっていたカウンターから離れて、ピンと直立して。
「どうしたんですか?ぼんやりして…」
補充用の煙草のカートンを持って、小栗がカウンターの中に入ってきた。
「…ちょっとね…あっ小栗くん、最近あのいつも来る作業着で若い(可愛い顔した)男性見かけてない?」
小栗はあぁっと笑顔を浮かべた。
「あの唐揚げ弁当の?」
里見はパアッと顔が輝き、前のめりになった。
「そうそう!」
「見てないです。」
バッサリといわれ、里見ははぁ…というしかなかった。
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