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「か」の名字ばかりになっている…
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「こんなの食べるくらいなら、僕がフレンチでもイタリアンでも連れて行きますよ。」
「俺は唐揚げが!食べたいの!」
柏原はふふふっと笑って、幸希の唐揚げ弁当を取り上げた。
「わかりました。鳥の上手い和食屋にでも行きましょう。」
肩に手を回されて幸希はその手から逃れようともがいた。
「い、いいんだよ!カロリーが高かろうが、どこ産だかわからない肉だろうが、俺はここの唐揚げ弁当が食べたいんだ!」
「どこの肉からもわからないのでいいのなら、僕が御馳走する唐揚げでも問題ないでしょう?」
「うっ…いや…その…だから…ね…。あっ、つまりここの唐揚げ弁当がいいんだよ!」
説得力も意味もわからない自分の言葉に幸希は恥ずかしくなった。
「まぁまぁ、今日はご飯だけで…貴方の身体は無理させませんから。さぁ、行きましょう。」
そういってウインクをした柏原に幸希はがっくりと肩を落とした。
(なんか…前もだったがこいつには勝てない….)
柏原に肩を押され、出入り口に向かった。
途中、学生風な店員と目が合った時、彼がやけに恐い顔でこちらを見ていたので慌てて、目を逸らした。
(あんだけ騒いで何にも買わないで出るんだから、睨むのも当然だよな…)
上機嫌で口笛を吹く柏原の横で幸希は小さくなって、自動ドアに近づいた。
ピロピロ〜〜ン
自動ドアが開くと、雨音がダイレクトに耳に入ってきた。
幸希は手のひらを上に向け、空を見上げた。雨は夜の漆黒の闇を更に黒く染めているようだった。
「今、傘開きますから。」
そういって傘立てに柏原が近付いて行った。
「あぁ。」
ふと柏原を目で追っていくと傘立てから傘を取り出そうとする柏原とは反対に傘の雫を払い、傘立てに傘を入れようとしている人がいた。
「…!!」
幸希は声が出そうになり、手で口を覆った。
傘立てに傘を入れるとその人はふるふるっと頭を振って、雨を弾かせた。
(な、なんで…!?)
幸希は急いで傘立てに背を向けた。
(いや…元職場だから不思議じゃないよね…また来てとかいってたから、このコンビニのこと好きだったみたいだし…)
パンッ!!!
背中で弾けるような音がして、幸希はビクッと肩を震わせた。
「さぁ、雨宮さん。行きましょう!」
(馬鹿!名前いうな!)
肩を掴まれ、幸希は恐る恐る柏原の向こう側を横目で見た。
そこには目を見開いた勝谷の姿があった。
幸希はパッと目を逸らし、下を向いた。
(バレた!!?)
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