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一人暮らしのひとり言
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コンビニの袋を下げて家に帰る。
いつもの道にいつもの街灯。
ちょっとだけ違うのは、帰宅時間と下げているコンビニの袋。
あと中身。
チン!
レンジが音を立てた。
「あのコンビニ、唐揚げ弁当なかったし…。でも野菜炒め弁当とか健康に良さそうだよな!俺もアラサーって奴だしな!」
シーン
「1人で…何いってんだか…。」
目の前には色んな色が混じった野菜炒め弁当がホカホカと湯気を立てている。
「…いただきます。」
幸希は肉、玉ねぎ、ピーマンなど箸で挟めるだけ挟んで口に運んだ。
「モグモグモグ…。」
口一杯に入れたせいか、中々飲み込めなかった。
「ゴグッ!」
ようやく飲み込んで、手元にあった350mlの発泡酒を一気飲みした。
「うぃっ〜。」
口元を手で拭いながら、幸希は微妙な顔で弁当を箸でつついた。
「…あんまり…旨くないな…?」
油もギトギトだし、野菜もシャキシャキ感が無い。何より味が濃い。
「野菜炒めって、もっと旨かったような…。」
”よかった!”
脳裏にはにかんだ笑顔がよぎり、ハッとした。
(あっ…そうか…)
「馬鹿な子だよ…あいつは…。」
幸希は頭をかいて、箸を投げ出した。
「俺って…最低だよな。。」
思い出すとひどい事してしまったと後悔する。もっと違ういい方があったんじゃないかと。
でももう遅い。自分はもう逃げるだけ。
”今は唐揚げが作れるように勉強してますんで…”
「唐揚げ…か…。」
再び発泡酒を手に取った。
「今だに唐揚げが好きだなんて…笑われるかもな。」
(今度は俺もが逃げるほうか…)
「人参は…嫌いなんだよね…。」
小さな部屋で自分の呟きだけが響いていた。
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