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帰宅ラッシュの裏道
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「雨宮さん、だいぶ傷が目立たなくなりましたね。」
もう夜も近い時間というのに外はまだまだ明るかった。
「そうなんだよ!この1か月、あの傷のせいで、ずっとデスクワークさせられてたからな〜。よかったぁ〜。」
助手席に座った金田は今年の暑さのせいか、すっかり真っ黒に日に焼けていた。
「仕方がありませんよ。雨宮さんの顔に傷があると痛々しくて見てられなかったですもん。」
「えっ?そんなひどい顔だった?」
「えぇ!!雨宮さんの顔はこの世で類を見ない程、綺麗な顔をしてるんですよ!そんな貴重な顔に傷がついてるなんて…僕は耐えられませんでした!もう二度、階段から落ちたりしないで下さいね!」
「は、はい。気をつけます…。」
金田の熱弁に圧倒され、幸希はそれしか言い返せなかった。
「でもあの現場に雨宮さんが立ちあってくれて、よかったです。」
話が変わって、幸希はホッとしながらハンドルを握り直した。
「うちは初めて△□組さんとこの現場に入ってたんだな。いかつい人ばっかりで、ビビったよ。」
「でも雨宮さんの事、気に入ったみたいですから、また違う現場に入れてくれるかもしれません。」
夕方の道は帰宅の車で混んでいた。
「金田くんの頑張りのお陰だよ。あそこは今日でラストだろ?明日からは違う現場?」
幸希は裏道に入ろうとウインカーをつけた。
「はい。明日からは例の大学が夏休み入ったんで、保守点検しなきゃいけないんです。」
幸希はドキリとして、ハンドルをきった。
「あそこの構内広いから、結構時間掛かるかもしれないんですよね〜。やだな〜。」
「そ、そうだね。」
「そういえば雨宮さん、あの背の高い大学生とは…どういう関係なんですか?」
金田はそれが聞きたくて、しょうがなかったような顔をして、幸希に詰め寄った。
「どうって…あっ。」
前をノロノロと自動車教習車が走っていた。
「こんな裏道を?」
1車線の道を不安定にゆっくり走る自動車教習車に幸希たちの車はすぐに追いついた。
「…。」
「…。」
「…。」
「…遅いっすね。」
はっきりいって、この時間にこの道を走らせるのは迷惑だ。
「後ろが混んできました。」
金田が後ろを振り向いて、焦ったようにいった。
「そういわれてもな〜。」
前の自動車教習車は変わらず、ノロノロと制限速度以下で走っている。
道も狭く、曲がりも多いこの道で追い抜くのは困難だった。
プップーーー!
後続車が耐えかねて、クラクションを鳴らした。
幸希がビクッとして、アクセルを踏んでしまった。逆に曲がりの自動車教習車は驚いたのか、急停止してしまった。
「わっ!!!」
(間に合わない!!)
幸希はギュッと目を閉じ、ブレーキを思いっきり踏み込んだ。
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