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楷くんの優しさ
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「…取られた?」
幸希はギクリとした。
あの時の勝谷と女の子の抱擁が今でも鮮明に思い出される。
「取られたってか…最近、あいつ誰とでも寝てるみたいなんです。恋人がいようがいまいが、誘ってついてきた子だろうが、誘ってきた子だろうが、すぐにホテルに行っちゃうみたいなんです。あれだけ顔がいいし、勉強も出来る、何でもこなす奴だから、女なんてすぐに身も心も許しちゃうみたいです。」
楷は鼻をすすって、ふっと笑った。
「まぁ、俺もまだ告白もしてなかったから、何にもいえない立場ですけど…」
楷はようやく幸希に目を向けた。
「彼氏だった人とかに恨まれたりするかもしれない。みんなあいつには勝てないとは思うものの、最近のあいつの行動はおかしいです。ねぇ、雨宮さん、何か知りませんか?」
「いや…」
「勝谷、雨宮さんには心を許してるっていうか、大切にしている感じだった。大学で知り合ってからずっと、クールで1人狼みたいな奴だと思っていたけど、雨宮さんの事になると感情が見えてた。今は…まるで感情がないみたいで、声も掛けづらい。雨宮さん、あいつから連絡とかないですか?」
幸希は胸の苦しさを払いように首を振った。
「俺と彼は頻繁に連絡をとるような仲でも無かったから…」
幸希はそう言ってうつむいた。
あれ以来、コンビニでも顔を合わさなかった。
何食わぬ顔をしておこうといつも通り寄ろうと緊張しながら中に入るが、ずっとあの高校生しかいない。
(そういうことか…)
女の子と遊ぶ時間に費やしているのだろう。
何故か寂しい気持ちで締められる。
(なんでだろう?彼が恨まれるのを心配してるからだろうか?)
幸希は拳を胸にあてた。
「そっか…あいつ、前に雨宮さんの会社の住所聞いていてから、てっきり相談とかしてるのかと…」
幸希は唾を飲み、身を乗り出した。
「で、でも遊びで手を出してるんだろう?その中に本命がいるんじゃないの?」
真っ赤な口紅の子が思い浮かぶ。
「さぁ?俺にはわからないけど、いたとしたらあんな誰彼かまわず寝たりしないと思う。どちからというと…何かを埋めるよう…自棄になっている感じです。好きな子を寝取られて、ショックだったけど、こうして雨宮さんと話しているとあいつは辛そうな顔している気がする…」
幸希は楷の額の髪を払い、恨み言も言ずに心配する彼を関心して見下ろした。
「楷くんは優しいね。」
「だってあいつはダチだから。それに本来の勝谷はあんないい加減なことしない、真面目で優しい奴なんです。」
幸希はうんうんと微笑んだ。
「お願いです。あいつと話してください。」
幸希はその言葉になかなか返事ができなかった。
「ても…」
「お願いです…」
真剣な瞳に幸希は戸惑いながら小さく頷いた。
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