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山科
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おっと、得意の癖で、無言で作業しちまった。手伝わせてる立場なのに、無言とはイケメン君に申し訳ない。それに名前くらい聞かないとね。
口を開こうとしたとき、でけぇ影がドアを横切った。あぁ、噂をすれば、駿介だ。部活もう終わったんか?
「はじめ。」
ドアに寄りかかって、いつにも増して怖ぇ顔で声をかけてくる。なんかあったんかな、と思って手を止めると、ヤツは考え事でもするようにデコに手を当てて、なんでもねぇ、って言ってどっか行ってしまった。
わかんねぇやつ。熱でもあんのかな。デコに手ぇ当ててたし。後で聞いてみるか。
作業を続けようと目線を戻したとき、イケメン君が、ぽつりと呟いた。
「川西くん...」
「駿介の事も知ってんの?」
「有名だから。...それに見てたから。」
まぁ、考えてみたら当たり前だ。駿介は有名人。でも見てたって誰を?駿介をか?
「君、駿介の事好きなの?」
答えないで、無言で作業を続けるイケメン君を見て、ピンときた。イケメン君は駿介の事が好きなんだ。今まで駿介の事好きだった男の子は、みんなこんな感じの子だ。儚げでアンニュイな感じ。
なるほど、それで俺のことも知ってたのか。謎は全て解けた。あいにく、駿介にそっちの趣味はないし、手助けしてやるつもりもないよ、悪かったな、イケメン君。でもいい子そうで、俺こうゆう子結構好きだ。
「君、名前は?」
「山科透乃。やましな、とおの。」
「名前までイケメンだなぁっ。」
つい心の声が漏れちまった俺のこと見て、山科は照れたように笑ってる。よかった、変に思われてなかった。
しかしいい笑顔だなぁ、駿介にはもったいねぇよ。
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