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月日~その傷抉ってほしいんでしょ?6
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〈side日向〉
痛い痛い痛い痛い痛い……
もう、痛みすら感じなくなってきた。声も枯れてほとんど出ない。けど涙だけは枯れることなく流れ続ける。
顔は涙でグチャグチャ。
傷は最初より深く抉られ、きっと神経は傷ついて幾つか切れている気がする。
貧血になってきて力も入らないし意識が今にも無くなりそうだ。もうどれだけ経ったかも解らない。
そのとき今まで一心に傷を抉り続けていた月島が顔をあげた。
「日向、そろそろ帰らないと時間大丈夫なの?」
それを聞きそういえば家族は出かけていて妹の夏だけ家に居ることを思い出した。
「…帰らなきゃ」
ふらふらしながら立ち上がり自転車置き場に向かう。
月島にも付き添ってもらいなんとか置き場についたとき時間は午後七時を回っていた。
急いで帰りたかったが自転車が漕げなかった為押して帰ることにした。
でもおれは出来るだけ早く帰るため青に変わった学校前の信号を走って渡ろうとした。
信号の真ん中あたりで体に強い衝撃。
宙に浮く感覚と視界の暗転。
…最後、意識が無くなる直前、月島の叫び声と車のヘッドライトの強烈な光が頭の中になだれ込んできたのだけ覚えている。
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