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加瀬 裕基(かせ ゆうき)とは。
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ひと通り、碧の話を聞いてわかった。
「それは恋だよ。やっと好きな人できたんだ、良かったね。」
『……は?』
「じゃあね」
『ちょ、まてゆう』
ブチッ
碧は自分へ向けられた気持ちも、まして自分の気持ちですら疎い。
こうやって言ってあげるひとが居なきゃ気づけない。ばかだなあ…
ーーーーーーーーーー
顔は昔から可愛かった。
それには確かに自信があって。
周りも可愛い可愛いともてはやすもんだから、こんな性格が出来上がってしまった。
おかげで友達が出来づらくなっちゃって。
小学生の時、初めてちゃんと友達になってくれた男の子が居たけど、勢いあまって好きになってしまって。
それが態度に出てたんだろうか。
周りの奴らにからかわれて、それ以来口を聞けなかった。
成長するにつれて、男しか好きになれないことを知った。
中学2年の時、3年の男の先輩に告白した。
そうしたら、彼は受け入れてくれたけど、ただヤりたかったらしい。
それがわかっても、ヤっている間は求められるということを知ってしまって、愛されている錯覚に陥るためだけに、ずっとその先輩と、そういうことをしていた。
けどある日、その先輩が、"加瀬裕基"はゲイだと言うことを、学校中に言いふらしたらしい。
すごく、嫌な目でジロジロと見られる、いじめみたいなことにも遭った。
無理矢理犯されたり、私物や机が無くなったり破られたり落書きされたり、それが日常茶飯事だった。
そしてそんな日々が、卒業するまで続いた。
さすがにその先輩との関係は終わらせたけど、ゲイだとわかったことによって、近づいてくる物好きな奴らとは関係を続けていた。
体だけの関係を、高校に入ってもやめなかった。
どうしたって、誰かに愛されたかったから。
高校でも好きな人はできたけど、結ばれることはなかったし、余計に誰かに必要とされたくなっただけだった。
猫かぶりな自分を拒絶されたくない、本当の自分を求めてほしい。矛盾してるけど、ただそれだけだった。
大学に入って、碧と出会った。
似た者同士、仲良くなった。
愛されたい同士、愛したい同士、すぐに関係を持つようになった。
碧はことが終わると、いつも寂しそうな顔をして、「ごめん。」とだけ言い先に部屋から出て行った。
今までそんなやつは居なかったからか、気づけば碧を、好きになっていた。
愛されていなくても、碧がただのセフレと思っていても、本当に好きな人に抱かれるならそれで良い。碧に好きな人ができたって関係ない。
ずっと、そう思っていたんだけど…
やっぱり…俺を好きになって欲しかったのかなあ…
暖かい雫が、俺の頬をつたった。
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