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仲直り。
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俺が泣き終わった頃、キヨの手が頭から離れて、少し、切なかった。
「ごめんな…付き合わせて…」
「ううん、大丈夫」
「そっか…」
キヨはなんで、俺を見捨てたりしないのかな。ゲイに優しくしないで欲しい…
あんなに避けられたら普通…まず俺だったら確実に探したりなんかしないけど…
「おれもここでご飯食べよー」
「え、食べてなかったのか!?」
「ん?うん。」
「うそだろ…」
食べないで俺を探して励まして…俺ごときに身を削り過ぎだ…
「すいません」
「はーい」
「親子丼ください。あ、あとおしぼり2つ」
「はいよ〜」
「おしぼり?」
「うん、目、あっためなきゃ。」
「ああ…ありがとう…」
また助けてもらった。
キヨはほんとに良い奴だ…
「いえいえ」
「ていうかさ、キヨって何でこんなこと知ってるの?」
前も思ったんだよな
「それは…末っ子の弟が泣き虫でさ…その時調べたらその方法が良いって書いてあって。」
「へえ〜」
「泣き腫らした顔のまま学校とか行かせられないでしょ?」
「うん…弟とそんなに歳離れてるんだ?」
「10個くらいかな、今その子と2人暮らし始めて1年くらい。」
「え、そうなの?」
「うん。」
「なんか良いな、そういうの。」
「そうかな…」
「俺は羨ましいよ…」
虐められてた時とか、親に嫌われた時とか、兄弟いればなんか変わったのかな…って今でも思うから。
「そんな顔しないで…」
「え?どんな顔…?」
「今、またどっか行きそうな顔してたよ。」
「あ……ごめん…」
「親子丼お待たせしました〜」
「あ、どうもすいませんっ…ふう、いただきます。…あつっ」
「ぷぷっ…そんな急いで食べるからっ」
「……」
「ん?」
「裕基くんは、やっぱり笑ってた方が良いね」
「ばっ、ばか!///…また恥ずかしいことを…」
「えへへ」
「はあ…」
そのふにゃっとした笑顔を見ると気が抜ける…
俺が今までキヨを避けてた意味が…
「ここの美味しいね。」
「だろ?」
って言ったってキヨから離れるために適当に入ったら当たりだっただけだけどな…
「明日も、2人で来ようか?」
「え…良いの…?」
「ん?なんで?」
「だって俺……」
「気にしてないよ。何か、あったんでしょう?裕基くんは何もない時にこんなことしないの、解ってるから。ね?」
「うん……」
どうして、どうしてこの人はこんなにも優しいんだろうか、俺が泣いたって突き放したって、包み込むような暖かさをくれる。
そうやって、いつも俺の心をかっさらって行くんだ。
それからまた話して、会社に戻って、普通に帰宅してしまった。
こんなんじゃだめだな…いつかバレるなら、自分で言ってしまいたい。
振られるんだとしても、これ以上気持ちが大きくなる前に…これ以上、キヨに迷惑かける前に…
好きだ…でもこのまま一緒に居たら、苦しくなってしまう。
もう、諦めて、言ってしまおうか。
明日…覚悟決めなきゃ…
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