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喧嘩なら
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正直、喧嘩なら負けない自信はあった。今まで一度も負けた事が無かったからだ。
さっきまでの話聞いてんなら、少しは警戒するはずなのに、こいつは堂々と俺の前に立っている。
「喧嘩の経験は?」
「無いね。だから今日が初めてかな」
首を傾げながら、余裕な笑みを見せられ腹が立つ。
「眼鏡取らなくていいのかよ。それ、壊すぜ」
「ははっ、これ無いと何も見えないから気にしないで」
くそ。どこまで俺を舐めてんだ?ほんとにムカつく。
「じゃ、行くぞ」
俺のその一言を合図に、そいつ目掛けて飛びかかる。
まずはどれくらい出来るか試してやる。
眼鏡野郎の右手に周り込み、拳を振るう。
「…っ⁉︎」
「へぇー。これが鷹中トップのグーパンチかあ〜」
だがいとも簡単に手の平で受け止められてしまう。
様子見とはいえ、手加減はしていない。
まぐれか?
「ってめぇ…なめるのも大概にしろよ」
「別になめてないけど?まぁ、身長の割りにはいい重みだね」
眼鏡野郎の口角が上がり、ググッと掴まれた拳を握られる。勢いよく引き寄せられ、反対側の拳で腹を殴られる。
「ぐっ‼︎」
今まで感じた事の無い重み。
「っくそが」
すぐに距離を取ったが、あまりの重みに膝をついてしまう。
「ケホっ……てめえ、喧嘩が初めてとか嘘だろ」
「嘘じゃないよ。ほんとに今日初めて人を殴ったよ」
手首をブラブラと振りながら、どこか楽しそうにこちらへと歩み寄ってくる。
体格差があるとは言え、喧嘩が初めてなこいつ相手にこの俺が膝を着くなんてあり得ねえ。
「じゃ、今度は俺からね」
上っ面な作り笑いを見せたかと思ったら、今度は人を刺すような冷たい目が俺に向けられる。
「なっ…」
長い足が脇腹に入り、かわす間も、受け止める間も無く眼鏡野郎の足蹴りが左腹に直撃。
「ぐっ、がはッ」
吹っ飛ばされるほどの強烈な一撃。
足がガクガクと震えその場にうずくまってしまう。
「あーあ。両膝ついちゃった」
ゆっくりと顔を上げると、眼鏡野郎は俺を見下ろしながらそう呟く。
今まで、どんなに体格差がある奴が相手でも負けた事は無かった。どんなに強い相手でも、こうやって膝を折るのは俺じゃなかった。
こんなのおかしい。あり得ねえ…
「くそが…」
「これって俺の勝ちだよね?」
「はぁ⁉︎まだ俺は倒れてねえだろうが‼︎」
頭の中に浮かんだ『負け』という文字。
苛立ちと、トップとしてのプライドがそれを許さず、噛み付くように叫んだ。
「ぐぁっ」
顔を掴まれ、地面に叩きつけられる。
「はい、終了〜。俺の勝ち」
「ん……なっ…まだ…負けてねえっ‼︎」
絶対、絶対にあり得ねえ。こんな奴にこの俺が負けるなんて。
「往生際悪いよ?それとも、気絶するまでがタイマンなの?」
必死に体制を立て直そうとするが、押さえ込まれる力の強さに全てを封じられる。
「っ…‼︎」
くそ…くそっ…くそくそっ‼︎
こんな眼鏡野郎にこの俺がっ…
「って事で、今日から君、俺の犬ね?」
薄らと笑みを浮かべるそいつの目は、明らかに先程までとは違う。
無様に地面に叩きつけられ、見下ろされ、まるでオモチャのように扱われる。
ギリリと歯を食いしばると、眼鏡野郎はニタリと笑い口を開いた。
「じゃ、とりあえずフェラしてもらおうかな」
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