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地獄と化す5分前
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「・・・らた」
結局、昨日は寝付けなかった。
何度も会長の笑顔を思い出して
その度胸がぎゅってなった。
いや、でもこれはあれだよな
優しくされて嬉しかったからだよな?
ぜってえ好きとか・・・
そういうんじゃねえよな?
大体、会長は男だし
俺はホモじゃねえし・・・
「・・・た」
まだ頭がぼーとしてる。
俺、
会長と付き合うことになったんだよな・・・
誰かと付き合うって初めてだな・・・
「おい!新!!」
「ぅわっしょい!なんだよっ!?」
いきなり耳元で名前を呼ばれて
俺は変な言葉と共に立ち上がった
「なんだよわっしょいって・・・
お前の事、さっきから呼んでる」
そういうとダチが教室の入り口を指す
あ?っと目を細めて
指先が示す方を見ると
女子に囲まれる眼鏡を見つけた
「なっ!」 眼鏡!!!
一瞬にしてあの夢見心地の
気分が覚めたのが分かる。
「行かなくていいのかよ」
「い、いい。ほっとけ」
ふいっとそっぽを向くと
何やら女子の群がる声が近付いてきた
「お、おいこっち来てるぞ」
「知らねえ!」
そして、眼鏡はバンっと机に手を突いた
その音に、周りの声が一瞬にして静まる。
ダチは し、失礼しますと
おどおどしながら俺から離れていく。
「な・・・なんだよ」
「俺に話しあるんじゃないの?」
「ね、ねぇよ!つかここ教室!
女子が引いてんぞ!」
「どうでもいいよ。
新、ちょっと来てくれる?」
「はっ!?なんっ」
なんでだよと、言ってやるつもりだった。
でも、振り向き、そいつの顔を
見た瞬間、
「来るよな?」
「・・・はい」
ここで逆らったら殺される
そう俺の中の野生本能が警告した。
いや、行ってもこれは殺される
そいつに連れられ、
俺は体育館裏に来た。
その間、こいつは一言も喋らなかった。
無言のこいつの背中が怖い。
ケンカをやり合う時に
よく体育館裏を使ってたけど
こうも恐ろしく感じるのは初めてだ。
「ここでいいか」
そう言うと、眼鏡は足を止めて
俺の方をじっと見る
「・・・で、なんだよ」
その冷たい視線に、少し恐怖したが
ここで尻尾を巻いたら負けだ。
睨め!こいつを睨め俺!!
負けるな俺!!
「なに、その目?」
「見て分からねえのかよ、
てめえを睨んでんだよ」
そう言うと、
眼鏡は珍しく言い返してこなくて、
俺をじっと見たまま黙った。
なんだ?
昨日の事か?・・・
その沈黙が逆に俺の緊張を煽る
しばらく様子を見ていると
やがて眼鏡はゆっくりと口を開いた
「樹と付き合うってほんと?」
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