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何も出来ないのなら
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いつもの様に授業をサボって
保健室に行こうとした。
5限目の世界史の女教師は
変に色目使ってくるし、
鬱陶しかったから授業を抜けてきた
その途中で、何やら廊下を壁を伝いながら
フラフラと歩く奴の姿を見つけ
やがてそれが新だと認識した。
「新?」
「・・・め・・・がね」
俺を見るなり新はその場に倒れた
様子がおかしいのはすぐに分かったし
そのまま抱きかかえて保健室に運んだ
「睡眠不足と風邪ね。
しばらくは安静にすること。 」
先生はそう言って新を俺に任せ
午後から行われる会議へと向かった
「・・・・」
保健室
初めて新を抱いた場所・・・
ベッドの横に座り、俺は新を眺めた
「・・・うっ」
汗が酷い。顔も赤いし、
身体を震わせている
まさかとは思うけど、
昨日の雨の中濡れて帰ったのか?
じゃなきゃ、新が風邪なんて引く訳がない。
「昨日・・・」
そうだ・・・俺は昨日
はっきりと新を好きだと認めたんだった。
好きな奴が今、目の前にいるのに
「ゴホッ・・・ゴホッ」
苦しそうだな・・・
せめて水くらい飲めるといいけど
「っ・・・うっ・・・」
すると新は寝返りを打ち、
こちらに顔を向けた
「はぁっ・・・うっ・・・つっ」
さっきよりも息が荒い
よほど苦しいのか、新の目から涙が零れる
この学校は、処方箋の薬は
取り扱っていないから
薬を飲ませる事も出来ない
何も出来ないのかと
頭を悩ませていた時、
「・・・ぉ」
新が何やら声を漏らした
「新」
俺は新に近付きそっと頬を撫でた
「・・・か・・ぃ・ちょぉ」
「・・・・・」
苦し紛れに呟くのは新が好きな男
「新・・・」
「っゲホッ・・ゲホッ・・・」
「大丈夫だ」
「ッ・・・会長・・」
必死にその名を呼ぶ声が
あまりにも弱くて、消えてしまいそうで
「大丈夫だ・・・新」
俺が近くにいても何も出来ない
出来たとしても、新はそれを望まない
新から身体を離し
近くにあったコップに水を注いで
それを口に含んでもう一度新に身体を近付ける
「はぁっ・・・っうっはぁっ」
息を荒げる新の頬を撫で涙を拭い
俺はそっと唇にキスをした
「んっ・・・ふっ・・・」
そのまま口移しで新に水を飲ませ
頭を優しく撫でる
そうすると新は安心するかのように
小さく声を漏らした
「っ・・・ん・・・」
顔を離すと、新は少し息を整え
そのまま眠ってしまった。
「・・・・」
新
俺はお前に何もしてやれない
でもお前が望む事はしてやりたい
最後にもう一度新の頭を撫で
俺は保健室を出ると
樹の居る生徒会室へと向かった
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