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気付かれたくない事
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「失礼しました。」
先生に呼び出されて、15分が経った
話しが済むと、僕と成海は職員室を出て
また生徒会室へと足を向かわせた
「結構早く済んだね」
「そうか?話しが唐突過ぎるだろ」
僕達は、そのまま廊下を歩きながら
先程先生に申し伝えられた事を話していた
「つか、こんな時期に転入して来るとか。
今時そんな奴いるんだな。」
ため息混じりに、成海はそう言った
「そうだね」
僕と成海は、少し前から時々理事長に呼び出されては
新しい転入制度の導入について
生徒の目からどう思うかという点で
話し合いに参加させられていた。
まぁ結果、導入を受け入れるという事になったのだけれど
「なんで俺達生徒会が、その転校生の世話係を
任されなくちゃいけねぇんだよ」
そう。僕達はその転入してくる言わば転校生の面倒を
明日から見なければならない
「仕方ないよ。地方から転入して来たんだ。
不安も沢山あるだろうし。
この学校をよく知る僕達でその子を
全面的にフォローしてあげよう。」
「チッ、めんどくせぇな・・・」
めんどくさがる成海を横目に
僕は少しだけ困ったように笑ってみせた
「この事を新と大崎にも伝えなくちゃね」
「ああ・・・・それよりも、その肝心の転校生が
なんで今日学校に来てんだよ。
登校は明日からのはずだろ?」
「どうやら父さんが呼び出したみたいなんだ。
一度その子とその保護者と会って話しがしたいそうだよ。」
「へぇ」
そんな事を話しながら、
僕達は生徒会室へと続く廊下を歩いた
「っ・・・」
その時、何やら寒気がして
僕は体を少しだけ震わせた
「ん?どうした?」
「い、いや・・・ちょっと寒気がしただけだよ」
流石にもう冬に入るこの季節の廊下は寒いな・・・
後で生徒会室の暖房の温度調節をしよう・・・
新達が、風邪を引くといけないし
「新、戻ったぞ」
初めはただの季節の寒さのせいでの
寒気かと思っていた
「お・・・い」
けど、どうやらそうではなかったようだ
「め・・・眼鏡っ会長っ(泣)」
成海が生徒会室の扉を開けて
二人して中を覗くと
「ん?なんや、お姫サマのお友達か?」
新に詰め寄り、横目で僕達を見る
見慣れない姿の生徒
「てめぇなにしてんだよ!」
「おっと!!」
もちろん、すぐに成海は新の体を
自分の方へと抱き寄せて、僕も反射的に
その生徒の首元を腕で押さえ付けて壁に背中をつかせた
「ふぇ・・・眼鏡・・・」
「大丈夫か?」
どうやら新は無事のようだが
何やら目に涙を浮かべていた
成海は新の頭を撫でながら
この生徒を睨みつけていた
「もしかして君が例の転校生?」
そして僕も、少しだけ睨みながら
この生徒へと目を向けて
転校生かと尋ねてみた
「お、おお・・・そうやけど?」
「・・・・・」
やはりそうかと、暫く睨みつけたあと
僕はこの生徒から体を離そうとした
「ちょ、あんた!」
「!?」
その時、いきなりこの生徒に腕を引かれたかと思えば
僕の顎をくいっと上に上げてきた
「・・・・なに?」
「・・・・いや」
僕の目をじっと見ながら、この生徒は暫く黙った後
「あんた、綺麗な顔しちゅうな」
「・・・・」
少しだけ目を輝かせながら
そんな事を言ってきた
「・・・離してくれる?」
「おっ、ちょい待ちや!」
すかさず僕はこの生徒から離れた
引きとめようとしたこの生徒を軽く無視して
僕は会長机の椅子に腰を掛けた
「・・・・で。挨拶も無しに
いきなり大切な生徒会のメンバーに手を出すなんて。
君の故郷ではそれが普通だったの?」
また少しだけ睨みを効かせながら
その生徒に向かってそう言った
迂闊だった。
まさか、新と初めに接触するとは
こんな軽そうな男が、新に触れるだなんて
「別に手ぇ出したつもりはないぞ!
挨拶や!挨拶!」
「外人じゃないんだから。
もっと日本人らしく、礼儀正しくお願いしたいもんだね。」
はぁっとため息を零してそう言うと
その生徒はうっ、と息を詰まらせて
新と成海の方を向いた
「な、なんだよ・・・」
「さっきは悪かった。
別に怖がらせるつもりは無かったがよ。
許してな・・・姫」
「姫?」
どこかションボリとして新の事を姫と呟いた事に
過剰に反応したのはもちろん成海。と僕
「おい、お前」
「まぁまぁ!そんな顔で睨まんといてや!
まさか姫にナイトがおるとは思うてなかっただけやき♪
もう無理に詰め寄ったりせんちや♪」
やっぱり、手を出した自覚があったのか。
「・・・はぁ・・・とにかく、
詳しい自己紹介は放課後にしよう。
新、もう教室にお帰り。成海も新と一緒に行ってあげて。
僕はこの生徒と少しだけ話しがあるから。」
もう昼休みも終わるし、
これ以上この空気の中で新に手を出し掛けていた男と
成海を一緒にするのは危うい。
折角、新が気持ちを伝えれて上手く行ったんだ。
そんな矢先のいざこざは避けてあげたい。
「で、でも会長、俺っ」
「新。作業の続きはまた明日からにしよう。
今日は大丈夫だから。ね?」
少しだけ心配そうに僕を見る新に
僕はそう微笑んだ
「は、はい・・・また放課後・・・」
新は申し訳なさそうに頭を下げて
成海とそのまま生徒会室を出た
「・・・・はぁ」
そして、ため息を零しては背もたれに背中を預けた
「・・・・」
二人がくっついてくれたのは嬉しい
新が安心してくれて、幸せなら僕も嬉しい
けど、やっぱりまだ二人が一緒に居るところを見るのは辛い
慣れるのには少しだけ時間が掛かりそうだな
「・・・・・さて、と」
この男の対処法を、早急に考えないといけないね
「・・・・」
視線をその男に戻すと、
何やら僕をじっと見つめていた
「・・・・・なに?」
「ん〜、いや♪」
「・・・・?」
僕の顔を見たまま少しだけ笑ったこの男を、
僕は不思議に思った
「なんかあんたって」
そして
「えらい作り笑いが上手いなぁって思って♪」
「・・・・・・」
そう言って、妖艶に笑うこの男は
僕にとって最も嫌いなタイプの人種だと
その時感じた
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