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アルバム
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るんるん気分で眼鏡の家に着くと
眼鏡はそのままレジ袋を持って
晩飯の支度をし始めた
「・・・・」
手際良く買った肉や野菜を切っていて
トントン、という家庭的な音が耳に入る
懐かしい音だった
昔母さんが料理を作りながら
優しい声で俺を呼ぶのを思い出した
その音も、俺を呼ぶ母さんの優しい声も
ここんとこ暫くは聞いてない
「・・・お前って料理とかすんだな」
料理をする眼鏡を見ながら
俺は椅子に腰を掛けた
「まぁそこそこ」
「・・・へぇ〜」
完璧な奴は料理も出来んだな
俺、料理出来ねえんだよな
「新、ちょっと時間かかるから
部屋に行ってていいよ。出来たら呼ぶから」
「・・・・」
眼鏡はそう言ってまた料理に集中し始める
時間かかるって・・・別に簡単に作れるもんでいいのに
俺は部屋には行かず椅子に座って
テーブルにベターっと体を伏せてまた眼鏡の背中を見た
「・・・成海」
「・・・・・・・」
「成海・・・」
「・・・・・・・」
俺が名前を何度呼んでも
眼鏡は料理に集中してて聞こえてないのか
一度も振り向かなかった
「??」
だから、なんかムカついたから
俺は後ろから眼鏡に抱きついた
「新?」
「名前呼んだのに・・・気付けよ」
多分、今日の俺はいつもより素直な方だと思う
なんでだろ・・・文化祭の時以来
こいつとセックスしてねぇからかな
早く触ってほしいってずっと思ってる
欲求不満かよ・・・俺・・・
けど、家に着いたら絶対すぐしてくると思ってたのに
お仕置きとか言ってたし・・・
「新、包丁危ないから離れて」
「っ・・・」
眼鏡はそう言うと、俺の手を解いて
振り向いて頭を撫でてきた
「すぐ作るから。部屋に行ってろ」
「・・・ふん」
この俺が誘ってやってんのに
料理が優先かよ・・・
「くそ眼鏡が!ばーかばーか!」
抱きつき損じゃねえかよボケ
恥ずかしいじゃねえかよ!
俺は地団駄を踏んで
こいつに向けてベぇーっと舌を出し
眼鏡の部屋に向かった
「・・・くそが・・・」
部屋に入って、ベッドにボフっとダイブした
「・・・・眼鏡のにおい」
って!変態か俺は!!
何布団のにおい嗅いでんだよ!
「・・・っ」
ムカつく・・・
こんなにあいつのにおいが充満した部屋に
一人きりにさせやがって
「・・・・・・早くしてぇよ」
頬を布団にピタリとつけて
早く寝る時間になれと何度も唱えた
「・・・ん?」
そして、眼鏡の部屋を見渡すと
机に目が行った
「なんだ?これ・・・」
ベッドから起き上がって机に近付くと
机の上には沢山本が並べられていた
「難しい本ばっかじゃねえかよ」
本を手に取ると、法律の本やら医療の本やら、
俺には理解出来そうにないものばかり集められていた
そして机の一番端に、一層古びた本があった
「これって・・・」
見て見ると、それは本じゃなくアルバムだった
「め、眼鏡のアルバム!!」
アルバムだと分かるとなんかワクワクして
好奇心で俺は中身を見てしまった
「えっ、こ、これが眼鏡??」
ペラっとページをめくると
どれもあいつのガキの頃の写真
「か、・・・可愛い」
幼稚園の先生に抱かれて
ムスっとしている眼鏡・・・
運動会でかけっこをしてる眼鏡・・・
「・・・くそ可愛いけど」
でも、どの写真も笑ってなかった
「あれ、これは・・・」
そして、次の写真に目をやると
眼鏡の隣に綺麗な男の子が居た
この子は・・・
「か、会長!?」
やがてその写っていた子と会長が一致して
会長と分かるとまた楽しくなって
写真を見続けた
「会長、小さい時から綺麗な人だな・・・
うわ、小学生で大人っぽい・・・」
眼鏡も会長も、小学生から色気ムンムンじゃねえかよ
俺の知らなかった小さい頃の二人を見ると
なんだか嬉しくなってまた口元が緩む
「でもこんだけ写真あんのに、家族写真がねぇな・・・」
アルバムを一通り見終わると俺はそう思った
そして、パタンとアルバムを閉じた時
一枚の写真がアルバムから抜け落ちてしまった
「あっ・・・やべ」
その写真を拾い上げると、まだ見てない写真だった
「んお?」
写真を見て俺は目を見開いた
「この人が眼鏡の・・・」
その写真は家族写真
どうやらクリスマスの時に撮ったものの様で
机にはデッカいクリスマスケーキ
でも、クリスマスケーキなのに
なんでハッピーバースデー??
「・・・間違えた・・・のか?」
まぁそんな事を思いながら
また写真をじっくり見た
真ん中に多分まだ幼稚園の頃の眼鏡と
眼鏡の両側にはこないだ会ったインテリ美女・・・
もう一人は
「眼鏡の親父さん・・・」
親父さん??・・・けど、
この人どっかで見た事あるような・・・
「新〜!飯出来たぞ〜」
「っ!?」
この男の人をどこかで見たことあると
思い出そうとしたら
眼鏡に呼ばれて俺は慌てて写真をアルバムの中へ突っ込んだ
「まぁ、いいか・・・」
とりあえず、眼鏡の小さい頃の写真を見れた事はラッキーだ
可愛いかったしな。うん
「新〜?」
「い、今行く!!」
部屋の扉を開けるとすぐにいいにおいがして
あんだけお腹空いてなかったのに
今になってグゥ〜と腹が鳴った
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