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『なんか』じゃなくて
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「忍〜、さっき余計な事考えただろ?」
「へ?」
頬を摘まれたまま、そう言われて少しギクっとしてしまった。頬から秋人君は手を離し今度は両肩に手を置かれた
「俺の思い込みだったら悪いけど、忍は他の人と自分を比べ過ぎ。自分はあの子みたいにいい子じゃないのに……って思って自分追い込んでたらそのうちストレス溜まって胃に穴開くぞ」
「………」
「暗い顔もしないの。笑顔笑顔!」
ポンポンと肩を優しく叩かれ秋人君は笑顔を見せたけど……
「…………だって……自信無くて…」
「ん?」
僕はこれといった取り柄も無い……男らしくもないし自分の意見すらまともに言えない。友達が多い訳でもないし友達だって渋谷君やつっちーとカワちゃんくらいだし……せめて性格が良かったらまだ救いようがあったけど性格はとびきり悪い
「なんで……僕なんかを…」
自信の一つも無いから、秋人君がなんで僕を好きになったのか……それが一番聞きたい事なのかもしれない
「だから『なんか」とか言うなって」
「……」
さっきまで明るい雰囲気だったのに僕のせいで暗くなってしまった。
駄目だな……僕って……気持ちを伝えたいって思ってたのにその自信すら無くしてしまう
ガクっと頭を落とし下を向いた時だった
「じゃ、教えてやるからよく聞けよ」
「え?」
教えてやる?……
そう言った秋人君はゴホンっと咳払いをした
「忍はもう覚えてねえかもしれねえけど、二回目に俺と会った時ファミレスに行ったよな?」
「ファミレス……学生証渡してくれた時?」
「そ。んでさ、俺無意識に忍の前髪上げちまったじゃん?」
前髪……あ……確かにそんな事があった……
あの時急に髪に触れられておまけに隠してたコンプレックスである目をばっちり見られて……
「え‼︎そんな時から⁇」
あの頃って物凄く前じゃないか‼︎しかも会って二回目で僕を好きになったの?
「んー、多分なぁ〜。忍の目を見た時ドキドキしたんだよ。初めて秋人君って呼ばれた時もドキドキした」
ど、ドキドキって……
「まぁ最初はダチになりてえって思ってたんだけど、忍と毎日帰る様になってだんだん好きになっていったというか……なんか可愛いなぁ〜とか思ったり、あわよくば触りてえとか思ってたり……」
「〜〜ッ‼︎」
平然とした顔で秋人君は話し続ける
「小動物みてえだなぁ〜とか守ってやりてえって思って。んで気付いたら忍に告ってた‼︎うん‼︎」
「な、なにそれ……」
うん‼︎……じゃないよ……なんでそんな嬉しそうな顔してるの……
……やばい……僕がドキドキしてきた
「自分の良いところなんて他人が気付いてくれるもんだと思うぜ。ダチが怪我とかしてたら真っ先に心配して気遣ってやれる。忍の良いところ俺は知ってるぞ。すっげえ優しい奴じゃん」
「………」
「俺の事怖かったのに無理してでも付き合ってくれてただろ?」
「……でも……振った…」
「それも忍の良いところ。俺が怖かったのに頑張って正直に言ってくれたんだろ?あのまま無理されてた方が俺は辛かったよ。」
「……」
胸がぎゅうぎゅうしてる……涙が出そうだった
「あの時俺に本当の気持ち言えるくらい忍は強え奴じゃん」
「……っ」
本当に涙が出そう……胸が苦しい………けどこれは辛さとか悲しいからとかじゃない……
「『なんか』じゃなくてさ。俺は忍だから好きになったんだよ」
「……ぅ……っ」
優しく頭を撫でられる……自分の事は自分がよく分かってるって思ってたのに、秋人君は僕が気付けなかった部分を知ってくれてる……ちゃんと見ててくれてたんだ
「うわっ、なんか恥ずかしい‼︎やばい……俺今絶対顔赤い…」
口元を手で覆った秋人君は確かに顔が真っ赤だった
「ゴホンっ。とにかく俺は忍が好きなの。理由はこれ以上言ったら恥ずかしくて噴火する」
「……ふふっ」
秋人君本当に照れてる……可愛い……
「すっげえ好きって事は知ってて欲しいな」
優しく頭を撫でられる……顔を真っ赤にして秋人君は笑ってる
「秋人君……」
「ん?」
僕だって秋人君の良いところ沢山知ってるんだよ
「…………好き」
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