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【番外編:秋人の心のTwitter】
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バレンタインで、まさか忍が俺にチョコをくれるなんて思ってもみなかった。
渡す側だと思ってたから俺から忍へあげるチョコは人生で最高潮のクオリティを誇るものを作った。試作を新に食べさせたらゴ◯ィバ越えだと言われた。
俺の中の忍をイメージしてたら、ラッピングはめちゃくちゃ可愛らしい感じになっちまったけど、チョコを渡したら嬉しそうな顔してくれたから安心出来た。
まぁ、お互いバレンタインチョコの渡し合いをしちまったから、結果的にホワイトデーはお返しのし合い。って感じで水族館に来た。
デートだ。忍とデートだ。
「あ、秋人君!ヒトデ触れるらしいよ!」
「おっ!ヒトデか!おっと、待て消毒ちゃんとして…」
“ヒトデに触ろう!”コーナーに来て、水槽の中に手を突っ込もうとした忍の手を止めて、水槽の側に用意されていた消毒液を吹き掛けた。
「ゆっくり触ってみな?」
「う、うん…‼︎」
水槽の中にタプン、と忍の手が入っていく。
こういうの嫌がるかなって思ってたけど、忍は楽しそうだった。
ヒトデに触れるか触れないかくらいのところまで指を伸ばして、ちょん、と触るとすぐ水槽から手を引き抜く。
ビクビクしながらも、また水槽の中へと手を入れる忍は本当に微笑ましい。
「ひぁぁぁっ…‼︎」
《忍、初ヒトデタッチ。超可愛い。》
ヒトデと戯れる忍の側で、そっと心のTwitterにツイートする。
秋人君も触ってみて?って言われて今度は俺も水槽の中へと手を入れる。
がし、っとヒトデを鷲掴みにすると忍はびっくりしてた。
ヒトデコーナーから移動して水族館の中を二人で歩く。
色んな色の魚や、変な形してる貝やカニとか、新しいものを見てるような感じがした。
海の中には色んな生き物がいるんだな。
「秋人君!クリオネ!」
「えっ!どこ?」
袖をクイ、っと引っ張られ忍が指差す方を見ると、青いライトが当てられた丸い水槽があった。
中には、ちっちぇクラゲみたいなのが何匹かふよふよと泳いでる。
「か、可愛い……」
水槽をじっと見つめて忍がボソッと呟いた。
今日の忍は元気だ。目がなんだかいつもよりキラキラしてる気がする。
「こっち来たよ…‼︎秋人君見て‼︎」
「お、おう」
クリオネが目の前を優雅に泳いでる。確かにちっこくて可愛いけど……
「可愛いね!クリオネ!」
「っ‼︎」
《クリオネを超える天使が目の前に!俺の恋人可愛い過ぎる!》
「……っ…」
「秋人君?」
「や、クリオネな。可愛いよな…まじ天使…」
「ほんとに天使みたいだね。」
「‼︎‼︎‼︎」
ふにゃりとした笑顔に俺の心は射抜かれた。
今日は心のTwitterが容量を超えそうだ。
果たして俺は、この天使と無事に水族館を出る事が出来るのだろうか。
途中で変な気起こしちまってトイレに連れ込んでしまったらどうしよう。
仮に無事に水族館を出る事が出来たとしても、そのままお持ち帰りしちまったら……
いやしたい!もうお持ち帰りさせて下さい!
ホワイトデーだぞ!!
神様、頼む今日は……今日くらいスケベ秋人になる事を許してくれ…‼︎
俺は目の前でクリオネと戯れるこの天使を今すぐトイレに連れ込みたい…っ‼︎‼︎
いやダメだ…そんな事をしたら忍に嫌われる‼︎
でも、でも……っ
「し、忍……その……そろそろあっち行かね?」
トイレには連れ込まない。
でも少し薄暗い通路のある方を指差した。
暗い場所でちょっとチュッてするくらいならいいよな!
「クリオネ可愛いかったね。」
「おう…可愛いかったな。(忍が)」
ごめん忍。俺は変態スケベ野郎だ。
クリオネほとんど見てない。忍しか見れなかったごめん。
そして薄暗い通路に誘い込みキスがしたいなんて思ってるクソ最低野郎だ。
心の中で自分に罵声を浴びせた。
そんな事グダグダ考えていると薄暗い通路に入ってしまった。
「…………」
やっぱ、我慢しよう。
そう思った時、また忍に袖を引っ張られた。
「ど、どした?」
急にキョロキョロし始め、何か言おうとモジモジ体くねらせてる忍を見て、トイレでも行きたいのかなって思った。
「あ、秋人君」
「ん?おっ⁉︎」
そしたら次の瞬間、袖を下へと引っ張られ忍の顔が近付いた。
「っ‼︎」
ゴチン、と歯と歯が当たる音が聞こえた。
「……え…」
何?……何が起こった?……
「〜〜ッ」
「え」
「〜〜〜ッ‼︎」
「え…」
唇へと手を持ってきてそっと触れてみる。
さっきの柔らかい感覚が(歯当たったけど)まだ残ってる。
「ぼ、僕もう一回クリオネ見てくる‼︎」
「は、はい…」
パタパタと忍がさっきの場所へと走って行く。
忍が行ってしまった途端、顔がボンっと熱くなった。
「……き、き、きす……」
忍が?……俺に?……
「……っ」
壁に背をついてズルズルと足が崩れしゃがみ込んだ。
「やっべ………不意打ち…」
まさか、忍がキスしてくれるなんて……
チュッじゃなくてゴチンッ、だったけど…ヤバい…ヤバいって
「クリオネ……クリオネ…クリオネ」
にやけてしまいそうになるのを何とか抑えようと、呪文のようにクリオネと呟いた。
《お持ち帰り確定。ホワイトデーのお返しはそれから。》
そして最後に、心のTwitterへとそうツイートした。
【秋人×忍 ホワイトデー編 終】
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