アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
いつき
-
「あ、…っ…日野…」
彼が何を言っているのかほとんど耳に入って来なかった。
聞こえるのは、繋がった場所から発せられる恥ずかしい音と、僕自身が喘ぐ声だけだった。
「日野…っ、…今、なん、て…」
「んー?下の名前で呼んでほしいなぁ〜って。」
「っあ‼︎」
強く奥まで彼が入り込んで来る。
日野はきっと、嘘を言った。名前の事じゃない、別の事を僕に言ったはずだ。
「約束って…っ、な、に?」
「あはは、そこ聞こえちゅうがやん。」
くしゃりと笑った彼は、その約束の事をもう一度言おうとはしなかった。
ぼんやりとだけど、約束が何なのかは聞こえていた気がする。だけど頭の中がもうぐちゃぐちゃで何を言われたか思い出せない。
「いっちゃんは、ほんまに可愛らしいなぁ。」
「…っ‼︎」
首に手が添えられ、日野の体が落ちて来た。
抱き締められて、キスをされて、耳元で日野の吐息が聞こえてくる。
「んっ‼︎」
ちゅるりと音を立てて、また鼓膜の側で水音が聞こえた。
「日野…っ…耳、やめ、て…」
「一緒にイきたいやん?いっちゃん耳が一番感じるみたいやし。」
彼の低い声が頭に響く。
顔を抑えられ、日野は絶えず僕の耳を舐めながら腰を突いて来た。
「も、むり…っ、…日野…」
「やきさ、下の名前で呼んでみてや?俺を抱いた時みたいにえろっちぃ声でさ。」
「…っ……」
そんなの、無理に決まってるでしょ…っ…
「は、あっ、あっ、…待って…待っ、て…」
膝を掴まれ、両足を閉じらされる。
みっともない格好のまま、日野が上から覆い被さって来た。
動きが大きくなり、早く、奥まで、彼のものが届く。
「は、っ、いっちゃん……」
切なそうに、何度も名前を呼ばれる。
「…っ…り、りゅ…う…」
「⁉︎」
首に手を回したら、自然と日野の名前を呼んでいた。
少し驚いた顔をした彼は、また、くしゃりと笑って僕にキスをしてきた。
「ほんま…可愛いなぁ。」
耳元で囁かれた瞬間、ズン、と奥まで腰を打ち付けられ大きく体を仰け反ってしまう。
ビクン、ビクンと体が揺れ快楽が外へと放たれていくのが分かった。
そして、僕の中に入ってくるのはどろりとした欲情の液体。
「いっちゃん。約束通り俺の話するな?」
「……ぅ…」
額にキスをされた後、日野の声が聞こえたが、頭がぼうっとして視界がだんだん狭くなっていく。
「ま…って……」
眠い……体が、腰が…もう、全部が重くて眠い…
「俺な。 に、 やん?」
日野の声が遠くなる。何を言っているのか良く聞こえない。
「 で、桐島を 。」
桐島さん………確か…日野のお兄さん…
「俺は 。」
駄目だ…全然聞こえない…
「いっちゃん?眠い?」
「……ぅ…」
「こんなとこで寝たら風邪引くよ?」
「……ひ……の…」
頭を撫でられてる。少しだけ目を開くと日野は僕を見て笑っていた。
唇にキスをされ、彼は「おやすみ」と呟いた。
「…樹」
そして最後にはっきりと聞こえたのは、初めて日野が、僕の事を“樹”と呼んだその声だけだった。
そこから僕は、完全に意識を手放してしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
368 / 617