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番外編【彼氏が不良で困ってます。その2】
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不良が多かった中学をなんとかギリギリで卒業した。
高校では真面目にやってみるか。とか思ってたけど、喧嘩ばかりしていた日々から平凡で平和な日々なんて簡単には切り替えれなかった。
高校入っても結局喧嘩ばかりして、別の高校に行っちまった秋人と、お互いよく授業を抜け出して遊んだりしてた。
そんなある日、俺は真っ昼間にいつものように喧嘩して、終わった後、なんか暇だったからその足で学校へ向かった。
入学してからまともに学校に行ってなかったし、さすがにやべぇかな。とか思って教室へと入ると、教室には誰も居なかった。
時間割を確認したら、体育。って記されてたからみんなは体育館に行ってるんだとすぐ分かったけど、俺は体操着なんか持ってきてなかったし、めんどくせぇから結局そのままサボる事にした。
椅子に座り、机に足乗せて、つい先程まで喧嘩してた事を思い出しながら目を瞑ってた。
今日は結構殴られた。口ん中切れてるし、制服もボロボロだ。
でもやっぱ喧嘩は楽しくてやめられない。
殴られた分、俺も相手を殴れるんだから。
「あ〜、暇。」
体育の授業が終わるまで教室でじっとしていようかと思ってたけど、する事無さ過ぎて嫌気が刺す。
このままここにいても仕方ないかと思い、来たばかりだったけど帰ろうと椅子から腰を上げた。
すると、その時丁度教室の扉が開いて誰かが中に入って来た。
「いてて……派手に転んじゃったなぁ…」
「………」
体操着姿で、真っ赤になった肘を摩りながら入って来たのは、クラスで一番地味な男。
「ふわぁっ‼︎し、渋谷君っ⁉︎」
俺を見るなり、大袈裟に体をビクリとさせて目をキョドキョドさせ始める。
つか、なんださっきの……ふわぁ?……
「ど、ど…ど…」
「………」
ビクビクしながら、俺をちらちら見て来て、なんつうかもうその態度がうざかった。
「……き、来てたんだ…ね……学校…」
「来ちゃ悪いのかよ」
「いえっ‼︎そ、そんな事は…っ‼︎……す、すみません…」
少し睨んだだけでこれだ。
本当うざいよな。こうやってすぐ謝る奴。
「まぁ、俺もう帰るし。」
「え」
とりあえず、入って来たのがこいつである意味良かった。
先生とかだったらめんどくせぇしな。
「んじゃ。そういう事で。」
さっさと帰ろうと、そいつの前を通ろうとした時、
「ま、待って‼︎」
「⁉︎」
何を見たのか、こいつは目を丸くさせていきなり俺の腕を掴んで来た。
「……おい」
離せよ。と睨むと、また体をビクリとさせる。
キョロキョロ、キョロキョロしながら、それでもこいつは腕を離そうとしなかった。
「あの……ちょっと…待って…下さい…」
「あ"?なんでだよ。」
めんどくせぇ奴……何か俺に言いたい事でもあんのかよ?
めんどくさ。とため息を吐いていると、そいつは俺から腕を離して自分の机の中を物色し始めた。
そしてすぐ俺の前に来て、顔真っ赤にさせて、手をブルブル震えさせながら何かを差し出して来た。
「…これ…」
「……?」
差し出された手に視線を落とすと、絆創膏が二枚、ほっせえ指の先から頭を出してた。
「俺に?」
コクン、と小さくそいつは頷く。
「…顔……に怪我……してる…」
「…………」
相変わらずビクビク怯えながら、絆創膏を俺に渡そうとしてる。
こいつだって肘から血出て…いやてか、膝も擦りむいてんじゃん……
馬鹿じゃねえの…俺の怪我なんか自分で負った傷なのにさ、怖いくせに俺の心配なんかして。
「…さ、さんきゅ…」
絆創膏を貰い受ける時、ボソリとそう言葉が出た。
「‼︎……うん‼︎」
「‼︎」
そしたら、そいつは急にキラキラした笑顔を向けて元気な返事をした。
そいつが笑った瞬間、胸がキュンとして、キュンに続いてドキドキと心臓が脈を打ち始めた。
「…?……??」
「あ、…じゃ、じゃあ……お大事にね…」
「お、おう…」
自分の分の絆創膏を持って、そいつは俺より先に教室を出て行ってしまった。
「………」
渡された、絆創膏を見つめるとまた胸がキュンとする。
「……大崎…」
心の中で、あいつの名前を呼んでみると、体の底から何かがざわめき立つのが分かった。
「…へへ……絆創膏ちっちぇ…」
俺と変わらない身長、体格…俺より細い手。
「やっぱ帰んのやーめた。」
きっと、俺はこの時から、大崎を好きになったんだと思う。
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