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イタズラ
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「は?」
巨人が言い放った言葉を聞くと、ついキョトンとしてしまった。こいつは鼻で笑った後、指先で器用にペンを回し始め、シャーペンが三回まわった時、またにやりと笑って口を開いた。
「特別な人間に対しては、口の利き方が変わるがかなぁ〜って思うてな。」
カチンとシャーペンが止まり、ニタニタと笑いながらそう言われ、何故か俺は顔が熱くなった。
「と、特別とかそんなんじゃねえ…」
目線を外して問題集に目を通す。
少しだけ雰囲気が変わったこいつの目の前に座るのは、なんだか本当に危ない気がして来た。
「特別やなかったらなんや?目上の人やき敬語使うってゆうがやったら、俺やナルにも敬語使わんといかんよな?」
「お前とあいつは論外だ…」
なんだこいつ。いきなり……何が言いてえんだよ。
「なぁ、お姫さま。あんたにとっての特別ってなんや?」
「話しがぶっ飛び過ぎだろ。無駄口叩いてねえで問題解けよ。」
変な緊張感が生まれ、俺は巨人に向けて問題集を差し出した。勉強が嫌になったからって話題を逸らそうとしてもそうはいかねえぞ……。
「ほら、問題解けよ。」
「………」
巨人が問題集に視線を落とした時、紙へと伸びた手は俺の手首をがっしりと掴み捉えた。
「おいなにすんだよ‼︎」
「俺が問題一問でも正解出来たら。姫にとっての特別がなにか教えてくれる?」
「は…?」
訳の分からない事を言われ、にこりと笑って巨人は問題集に目を通し始めた。
一問正解出来たら俺にとっての特別がなにか教えろ?
なに意味不明な事言ってんだ。だいたい、今日はまだ一問も正解出来てないんだぞ。俺がお前の問い掛けにどうこう答える以前に、お前がこの問題の答えを当てねえとそんなん無理に決まって
「…………………」
30問ある問題集をこいつに渡した。そしてそれは10分もしない内に俺の元に返却された。
「んふふ〜♪」
そして、俺も10分もしない内に答え合わせを終わらせた。
結果は、30問中28問正解。思わず俺は紙を握り締めてしまった。
「……お前、カンニングしただろ。」
「してないき‼︎ひどいなぁ〜。ちゃんと仮定法に直して解いちゅうやんか。wouldもちゃーんと使ったで?」
「…………」
ありえない。こいつさっきまで一問も解けなかったんだぞ。なんだよこの急成長は。馬鹿なフリしてたのか?まぐれか?なんで正解出来てんだよ意味わかんねえ。
問題のレベルは下げてない。むしろ適当に選んで渡したやつだから難しいの渡しちまったのに……なんでこいつは応用問題も解けてんだ?
ちらりと巨人の方を見ると、またニタニタと笑ってペン回しをしてた。
「約束な?正解したき教えてや。」
「だから、なんでそういう事になってんだよ。俺はそんな約束した覚えはねえ。」
「分からんき、って逃げるのはやめぇや。」
顔を背けていると、突然俺を大きな影が覆った。
巨人は立ち上がって、俺の方へと来ると、手を伸ばし俺の頬を触った。
突き飛ばすタイミングを逃してしまい大きなその体を目の前にして体が硬直してしまう。物凄い緊張感と威圧が俺を襲い、巨人のでっかい手が俺の頬を撫でた。
「逃げるのはガキながやろ?」
「……おい…」
「一方的でも約束は約束や。馬鹿な俺に分かるように教えてや。」
ツゥー、と頬を指先でなぞられ冷や汗が額に滲んだ。
なにかやばい。殴ってでもいいからこいつを今すぐ引き離さねえといけねえのに、体が何かに縛られた様な感覚に陥り動けない。
「教えてくれんと、イタズラするで?」
巨人がそう呟いた瞬間、腕を引かれそのままソファへと押し倒された。
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