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書き置きと手紙
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目が覚めると、外はまだ真っ暗だった。
ズキズキと痛む頭を抱え、上半身を起こして視線の先にある部屋の壁をしばらく眺めていた。
どうも頭の中がぼんやりとして、眠りにつく前の事がよく思い出せなかった。
全身に汗をびっしょりとかいていて、制服のまま眠ってしまったらしい。
「…………」
ぼんやりと、少しずつだが昨日の出来事が徐々に蘇って来る。
そうか。あのまま寝てしまったのかとため息を吐く。
部屋を見渡しても日野の姿は無い。
彼はいつもそうやって僕が眠っている間に姿を消してしまう。
不思議と、起きてからは冷静になれた。
けど、昨日自分が言った言葉もとった行動にも羞恥に後悔は無いと思えた。
時刻を確認すると、午前4:00を表示している。
朝だからまだ真っ暗なのか。と、そんなどうでもいい事をぽつんと思い浮かべた。
日野が帰ってしまったなら仕方ない。
また学校で昨日の事について詳しく話しをしよう。
「はぁ…」
ズキズキする頭を抑えながら、とりあえずシャワーを浴びようとベッドから足を降ろす。
喉もガラガラでお風呂場に行く前に水でも飲もうと思い、立ち上がった時だった。
「…ん?」
机の上に、レシートのような物がポツンと置かれている事に気が付き、不思議に思いながらも、そのレシートを手にとってみた。
どこかで買い物でもしたかな?なんて思っていると、そのレシートは、日野の家の最寄り駅前にある薬局が発行したものだった。
ますます、薬局で買い物なんてしたか?と不思議になる。
レシートには、トイレットペーパーダブルと書かれていた。
そこではっきりと気付く。
これは僕じゃなく、日野が置いていったものだと。
「…っ」
ペラリと、レシートをめくり裏を見ると、そこにはあるメッセージが書き留められていた。
見覚えた日野の字。
そのに綴られていたメッセージを見ると、頭のズキズキがより一層増した気がした。
「ほんっと、意味が分からない…」
ぐしゃりとレシートを握り締める。
ブチブチと額に怒りマークが浮き上がる。
すぐに日野に電話してやろうと思い、ポケットから携帯を取り出そうとすると、携帯を引き抜くと同時に、小さな紙がポケットから床へと落下した。
「これ…」
そういえば、これは桐島さんから頂いた紙。
目を覚ましたら読んでほしいと言われていたものだ。
「…………」
拾い上げ、四つ折りになった紙をゆっくりと広げて中身を確認する。
「……………」
…なるほど。
紙に綴られていたものを読むと、心の中でそう呟き、託されたその紙を握り締めある人物に宛てメールを一通送信した。
そして携帯を仕舞うと、ある事を心に決め洗面所へと向かった。
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