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その頃新は……
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廊下から人の声がする……あと、更衣室の前を通る足音が何度も聞こえていた。俺は部屋の一番奥の端で小さくなって会長を待ってた。
すぐに戻って来るって言ってたけど、会長は中々戻って来なくて……バクン、バクンって今の状況の中で心臓の音だけが跳ね上がり、いつ誰か別の生徒に見つかってしまうかと思うと怖くてたまらなかった。
「かいちょ……」
早く戻って来てほしい……早く着替えたい。
携帯は応援席に置いてきたし、この格好のまま自分から応援席まで行くなんて絶対嫌だ……
ぎゅっ、と膝を抱えて考える。
どう考えても遅過ぎる。
会長が着替えを取りに行って15分は経った。
グラウンドまでそう距離は無いし、すぐって言ってたから……すぐ戻って来るはずなのに……
「…………っ」
待っても待っても会長は来なくて、シン、と静まり返るこの部屋の中で俺一人だと言う事が急に心細くなって来る。
眼鏡……
もしかしたら、あいつ俺の事探してるかもしれない。昼は一緒に飯食うって約束してたし、それにまだあいつと今日ろくに話もしてない。
「…………」
会いたい…………けど、こんな格好じゃ会えない。
あいつの事だ、この格好見たら絶対俺の事馬鹿にしてくる。変な事してくるかもしれないし。
それが一番嫌だ。
廊下から、また人の声。
二人組か?三人組か……?数人の足音が聞こえて来る。
心なしか、こっちに近付いてるような……
「おい食堂そっちじゃねーだろ。」
「あー、オレ汗掻いたから更衣室で替えのジャージに着替えて来るから、先行って席取っといて。」
⁉︎⁉︎⁉︎
「っ‼︎‼︎」
聞こえて来たその言葉に大袈裟に驚き体が跳ね上がった。叫びそうになった口を咄嗟に手で押さえて、先程よりさらに身を小さく縮こませてみるが、そんな事したところで、この更衣室にさっきの奴等のうち一人が入って来るのは明らかだ。
「〜〜ッ」
最悪だ……
「腹減った〜。早く着替え済ませて食堂行こ……っと。」
最悪過ぎる‼︎‼︎‼︎
「ん?……なんで電気付いてんだ?」
「ッ‼︎」
磨りガラスに人影が写る。間違いなくここに入って来る。
会長…会長……会長‼︎‼︎
そう心の中で会長を呼んでみたけど、今まさに扉を開けようとしてる男以外に人影は見当たらない。
「誰か着替えてんのかな……」
「〜〜〜ッ‼︎‼︎‼︎」
どうする⁉︎セーラー服なんか着てこんなとこ居るの見られたら……っ…俺……俺……っ…
ただの変態じゃねえか‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎
「誰が居るのかしんねーけど、入るぞ〜」
コンコン、とノックをした後、ゆっくりと扉が開いていく。
「っ‼︎」
もう駄目だ……そう諦め、目を強く閉じた時。
「うわっ‼︎‼︎」
ガタン、と、扉の方から物凄い音と、さっきの男の悲鳴にも似た叫び声が聞こえた。
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