アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
交渉成立
-
昼休み残り10分。
外からは生徒に対し集合を促すアナウンスが流れっぱなしだった。
パタパタと廊下を走り回る音が聞こえたけど、座ったまま更衣室の壁に眼鏡が背を付け、そして眼鏡に背中を預けて俺が座ってる。
俺の腹に腕を回して、肩の上に顎を乗せてる眼鏡は、アナウンスが流れる度にため息を吐いてた。
「……お前…体操服持って来てんなら早く言えよ…」
「言ったらすぐ着替えるってお前が言うと思って。」
「そりゃ言うだろ……つか重い、頭退けろ。」
「んー。」
事が済んだ後、眼鏡は俺の体操服を取り出してきた。更衣室に入った時、部屋の片隅に投げ置いていたらしい。
持って来てるって知ってたら、あんなカッコであんな事絶対しなかったのに。
「まぁ、いい思い出が出来たじゃん。」
「どんな思い出だよ…っ……」
思い出すだけでカッと全身が熱くなる。
結局、セーラー服は俺のあれでベトベトになってしまい、これの処理をどうしようかと絶賛考え中だ。確か、今回のリレーで使った衣装は演劇部から借りた物だと聞いた。
洗って返すとして、部長さんに何て言って頭下げるかが問題だ。
「眠いな?」
「もうすぐ午後の部始まんだぞ…なに言ってんだ。」
「………」
と眼鏡に言ったものの、確かに眠い。
今日はいつもと違う事したし、体が普段の倍以上に疲労してる。
このままここでグダクダしてたい気持ちも多少頭の中に過ぎったが、ここで甘えた事したら終わりだ。
「離せよ……もう行く。」
「サボんないの?」
「はぁ?誰がサボるか‼︎」
眼鏡の腕を払いのけて立ち上がろうとした。
その時だった。
「いっ⁉︎」
ガクン、と膝の力が抜けて、足から崩れ落ちてしまう。地面に両手を着いて倒れ込むのは阻止出来たが、明らかに体の調子が悪い。
「…大丈夫?」
「……………」
ケロリとした眼鏡の涼しい声を背中に感じながら、もう一度立ち上がろうとしてみたが、やはり腰と太ももがジンジンして痛い。
「……っ……」
いや、いやいやいや……
まさかさっきヤったのが原因だとか無いよな?
だって今日は入れて無いし、それに眼鏡だって手加減するって言ってたし‼︎
「なぁ。」
「っ‼︎」
ダラダラと額から汗が流れて来たところを、眼鏡が後ろから抱き締めて来た。
また肩に顔を乗せて、何故か嬉しそうな顔をした眼鏡が口を開く。
「やっぱこのままサボった方がいいんじゃねえの?」
「なっ⁉︎」
その眼鏡のドヤ顔。
まじで本気で殴りたくなった。
「てめえのせいだろが‼︎」
「何でだよ。お前だってノリッノリでアンアン嬉しそうに腰振ってたくせに。」
「はあ⁉︎⁉︎」
くそ、まじで殴りたい。
「っ‼︎くそ眼鏡‼︎ざけんな‼︎」
恥ずかしくなる気持ちを抑え込み、今度こそ眼鏡を振り払って立ち上がった。
「俺はサボらねえし、ノリッノリとかありえねえ‼︎」
「………」
「それにな‼︎俺にはてめえを負かすという目標があんだ‼︎覚悟しとけ‼︎‼︎余裕こいて後で泣くのはてめえだからな‼︎」
「………」
ビシッ、と指を指して言ってやった。
「………へぇ。」
にたりと眼鏡が笑みを浮かべ、ゆっくりと立ち上がり、俺の頭に手を置く。
「そりゃ楽しみだわ。」
「……っ……」
痛い。激しく腰と太ももが痛い。
だが、この時俺は眼鏡を睨む事をやめなかった。
「総合得点。優勝した方が相手を好きに出来る。いいな?」
俺は諦めて無いぞ。俺は、眼鏡に勝って、こいつを丸一日好きに使ってやる。
「いいよ。」
「………」
交渉成立だ。
覚悟しろ、眼鏡。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
478 / 617