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副会長様
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駄目な事だってのは分かってる。
思い通りにいかない事もあるって分かってたけど、変な意地というか、プライドというか…いやそもそも、違反行為をする時点で俺にはプライドなんてモンは無いに等しい。
「どうすんの?お前生徒会のメンバーだろ。」
「…ぅ、ん」
だが、こんなにアッサリバレてしまうもんなのか?…くっそ……
「はぁ。まぁ俺は面白そうだからいいけど、樹にバレたら怒られるぞ。確実に。」
「…ゔ」
眼鏡も、部長さんと同じ事を言った。
確かにこれバレたら会長は確実に怒る。俺、生徒会だし……一応生徒の代表だし…
「もうバレたも同然だけど。」
「か、会長には事情をちゃんと…」
「事情の問題じゃないだろ。この学校の生徒ならともかく、他校の生徒が競技に参加してんだぞ。」
「…………」
ガミガミガミガミ、眼鏡がお説教をしてくる。
全くおっしゃる通り。言い返す言葉もない。
「黙ってないで何か言ったら?」
「………」
眼鏡を目の前に、俯きしばらく黙っていたら眼鏡は大きなため息を吐いた。
怒ってる。確実に怒ってると分かるから顔が上げられない。
「ごめんなさいは?」
「……誰が…」
謝るかよ。ぜってーヤダ。なんかヤダ。
「…………」
「………………」
「……まぁ、もう競技始まってるし、つかもう中盤だし、後でちゃんと話し聞くから。」
「………」
ふい、とそっぽを向いて返した。眼鏡は出番が迫ってたからそのままスタートラインが引かれている場所の近くへと向かった。
眼鏡が言ってる事はごもっともな事で。罪悪感だったあるし、謝らなくちゃいけない事だって分かってるけど……
けど!
「んだよ……」
なんか、こんな時に副会長感出してくるからムカつく!
てかあいつ副会長じゃねえか!生徒会という組織の中で結構身分高いとこにいる奴じゃねえか!
くっそ、そうだよ俺が悪いよ!
けどこの状況で他にどうしろってんだ!
秋人が出てくれなかったら俺達のチームはメンバー足らなかったんだぞ!
仕方なかったんだ!
「けっ、」
やけくそだ。開き直りだ。もう。
その場で立ち竦みながら、リレーの様子を見てた。秋人はやっぱり足が速い。
前を走ってた赤組のランナーを抜いてる。初めは嫌がってた秋人だけど、いざリレーに出ると表情はハツラツとしてて、物凄く楽しそうだった。
「…………」
視線をずらし、スタートラインを見てみる。
次は3年にバトンが渡される。待機場所には3年のランナー達がずらりと並んでいた。
眼鏡は……
なんだ、あいつアンカーなのか?タスキ持ってたの全然気付かなかった。
「え、会長も?」
ふと、眼鏡を見てたら会長が眼鏡に話し掛けた。
会長も黄色いタスキを肩からかけてる。
「って、巨人もアンカーだよな?」
おまけに、その次に巨人が会長に勢い良く飛びついてて、巨人も青色のタスキを掛けてる。
視線の先には、俺がよく知る人達が並んでる。
「なんか……すげ…」
少し胸がざわりとした。
その3人の背中がとても大きく見えた。
さっきまで違反行為しちまった事に対しての罪悪感でいっぱいだったのに、今はワクワクしてたまらない。
2年のラストランナーが帰ってくる。満面の笑みで息を切らした秋人が一番に帰ってきた。
次いで、ほんの数秒差で赤、黄……
「…………」
ドッと湧く歓声につられ、鳥肌が全身に広がった。
本当に、最後のリレーが始まるんだ。
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