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堪え性
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今日のこいつは何だか大人しい。
噛み付くような、強引で荒々しいキスはしてこない。
甘い飴玉でも舐めてるようなキスで、虚ろな瞳で俺を見ながら、いつもみたいに命令口調で物を言ってくる訳でも無くて、甘ったるい囁きを何度も、何度もしてくる。
「……あらた…」
別に眼鏡の裸なんて見慣れてる。
俺の裸だってこいつに何度も見せてる。
けど……なんだこれ……
「…ッ……」
何だこれ……めちゃくちゃ恥ずかしい。
「体勢キツい?大丈夫?」
「へ…平気だ……」
普段なら滅多にしない正常位。つか正常位の体勢のキツさとかここで聞くか普通?
今までこれよりキツい体位あっただろ。今聞くなよ馬鹿が………
「っぁ、…う…」
それに、んで今日はこんなにゆっくりしてんだよ…
「…新……」
「んっ、ぅ……」
まぁ……元はと言えば、俺が眼鏡に言ったからなんだけど……
「はっ、あ、…ぁあ…」
こいつが提案してきた小っ恥ずかしいゲームに俺は勝った。
負けた方が勝った方の言うことに従う。
それがルールで決まり事だ。
眼鏡が俺より堪え性のないヘタレだとは思いもしなかった。(ざまあみろ)
けど、今回は俺が勝った。そこで俺は言ってやったんだ。
「なんだ。お前は“普通のセックス”がしたかったのか……」
「っ‼︎」
眼鏡に言われ、ボッ、と顔が熱くなる。
「だ、黙れボケ…っ…」
そうだ。今回は言ったセリフが悪かった。
「っ…ゆ、ゆっくり……い、いやだ……」
「嫌?……」
今日は普通のセックスがしたいなんて、そもそも普通のセックスがどんなものかも分からないまま言ってしまうなんて……しかも、言った相手が悪かった。
「ふ…っ…めがね……も…動いて…」
「動いてんじゃん」
こいつにとっての“普通”が何なのか俺は知らないまま言っちまった…‼︎
「っあ、ぅ…はぁ、あ…っ…」
いつもと全然違う。
キスも、愛撫も、俺に吐く言葉も全然違う…
「可愛いよ…新…」
「っ…‼︎」
ゆっくりと腰を突かれる度に体がぞくりと震える。
その時に擦れる互いの肌が心地いい。
いつもより長い行為。時間をかけてゆっくり、ゆっくりと、快楽に溺れていく。
「もうむり………っ…もっと…はやく動け…っ…」
「言うことに従うのは最初の一つまでだろ…今日はこのままな?」
「っ…そ、そんな…」
ちゅ、と額にキスをされる。
眼鏡の大っきくて、すらりとした手が頬に添えられて、今度は頬に、そして首にキスが落ちてくる。
「…っ……ん…」
普通の…って、こんなにじっくりゆっくりするもんなのか?こんなのを長時間とか、恥ずかしくて死ぬ。
徐々に押し寄せてくる射精欲も、そこまで来てるのに……
…………もう頭が変になりそうになる。
「…うっ…ふぇ…っぐ……いつも…みたいに……動け、よぉ…」
「…‼︎」
駄目だ。俺に普通のセックスは向いてない。
いや、俺達には向いてない。
「…ん。分かった」
また、額にキスをされる。
眼鏡の両腕が布団と俺の背中の間に滑り込んできて、抱き締められる。
そしてそのあと強く腰を突かれた。
「っあ、んっ…うぁっ…‼︎…」
押し寄せる快楽、重なる熱。
甘い、眼鏡の匂い。
「はっ、あっ、あ…っ…」
結局今日も、“いつも通りの俺達”になってしまった。
「………………お前の負けだな…」
耳元で聞こえた、眼鏡の声。
堪え性がないのは、お互い様なのかもしれない。
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