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《帰り道》2
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「アキラ、着いたよ…」
みずきは眠るアキラに、そっと声をかける。
「……」
アキラはよほど熟睡していたのか、みずきの呼び掛けにピクリとも反応しない。
「…アキラ、アキラ?」
みずきは心配になって、肩を揺すって呼んでしまう。
「う…ん、…うるさい」
ようやくアキラはみずきを押しのけるようにして目を覚ます。
みずきはほっと一息ついて、優しく話し掛ける。
「アキラ、よく寝てたな…着いたぞ」
「ん?…着いたって…家?」
まだ眠いのか、ぼーっと答えるアキラ。
「ううん、健次先生の所」
「え、…寄ってくれたのか?」
ちょっと驚き聞くアキラ…
「うん…アキラも疲れてるようだからついでに診てもらおう」
「それは大丈夫だけど…こんな大勢でいったら健次さんの迷惑になるだろ…」
アキラは心配して言うが…
「でももう、行っているみたいだからアキラ…」
みずきは車外を指して言う。
「あ…」
外では先に降りていた4人が病院の入口で待っている。
「行こう、アキラ…」
「…ん」
みずきは頷くアキラの手を取り、ゆっくり引いてゆく…
「こんばんは、あの、楠木院長いますか?」
尋ねているのはコウジ、アキラたちは後ろに下がって様子を伺う。
「院長ですか?ただいま院長室に在室されていると思いますが、どちら様でしょうか?」
看護師はそう答えるが…
「おや、どうしました?」
横から優しく声がかかる。
「あ、健次さん、こんばんは。明けましておめでとうございます」
コウジが言葉を返す。
「こんばんは、おめでとうございます。コウジ…よく来てくれました」
いつもの笑顔で迎えてくれる。
「うん、アキ兄も連れて来たよ、ほら、アキ兄!」
コウジに引っ張られ、健次の前へ姿を見せるアキラ。
「…健次さん、すみません。連絡しなくて…」
少しバツが悪そうに謝るアキラ。
「…本当ですよ、心配していました。今はどこへ住んでいるのですか?」
アキラの肩に触れ、軽く叱るような顔で言う健次。
「うん、ごめんなさい…。今は、みずきの所に置いてもらってる」
素直に謝るアキラ…
「…色々、すみませんでした」
みずきは、健次と目が合って会釈する。
「いえ、鈴鹿さん、お腹の調子はよろしいですか?」
「…はい」
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