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《終了撮影》5
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「……」
なぜかアキラは、みずきに返す言葉がすぐ出てこなかった…
『アキラ?』
答えないアキラを心配して呼ぶみずきの声に…
「うん…アリガト…」
ぽつりと答えて、続けて…
「これ言う為だけに起きてたのか?」
『え…いや、アキラと話しがしたかったから…』
「ばか…、もう時間切れ!切るぞ」
アキラが一方的に言うと…
『えっ、アキラ!待って…もうひとつ』
みずきは慌てて止める。
「ん?」
いったん動作を止めて軽く聞くアキラ…
『…その、…愛してるから、アキラ…』
みずきはそっとアキラに囁く…
その言葉を聞いてなぜか…胸が痛く切なくなる感覚が走るアキラ…
「……、はいはい」
心によぎった想いを隠すように…わざと、そっけなく答える。
『…アキラ』
「もう時間ぎれだって、…でも、19歳になって、最初に口きいたのも、おめでとう言ってくれたのも…」
そして愛していると言ってくれたのも…
「…おまえだから、みずき」
『あぁ…』
嬉しそうに頷くみずき…
そんなささいなことでも、こんなに喜んでくれるみずき。
「…じゃ、切るから、早く寝ろよ」
アキラは、そう付け足して通話を終える。
『あぁ、わかった…』
みずきも頷いて通話を終える。
「……」
しばらく、ぼーっとしてしまうアキラ…。
愛してるなんて、よく言えるよな…
オレは、これから撮影とはいえ…カズキと寝るのに…
そう考えると、なぜか胸が痛くなる。
愛されても…裏切ってばかりで、何ひとつ返せていない…。
「はぁ、みずきの馬鹿…」
頭を振り、このもやもやした感情を、とりあえずみずきのせいにして…動き出すアキラ。
撮影前に必ず飲む薬を身体に流しこみ…
個室をあとにする。
撮影スタジオには、それぞれ休憩を終えて、関係者が集まってくる。
ようやく主要内容のシーン2の撮影。
つまり…エッチな内容のみの撮影に入る…。
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