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第1voice. いざ、出陣!(5)
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「……やっぱり、ボクの絵がド下手だから……」
「そ、そんなことあるはずがないわっ!! にゃあちゃんには、この絵の良さが分からないのよ!! だって、にゃあちゃんは猫だもの!!」
「でも……描き直すよ。もっと、マシなのを目指して頑張る」
「いいえ! そんなことっ!! まるで、奏ちゃんがダメな子みたいじゃない! 奏ちゃんの絵がド下手みたいじゃない!!」
半狂乱に陥った母さんは、ボクの胸倉を掴んで縋りつく。
嗚呼……
また、父さんが帰ってきたら泣きつくのだろうか……。
ごめん、父さん。
「あ、ありがとう、母さん。とりあえず、コレで出してみるね、うん……」
「えぇ、是非ともそうして!! 絶対に受かるって、母さんにはもう見えてるの!!」
「そうなんだ……。ありがとね」
涙ながらに語る母さんをリビングに残し、ボクは自室へと戻った。
母さんのことが少し心配だったけど、いつもの調子ならすぐにおさまると思うし……。
「だ、だいじょうぶ……だよね?」
後ろ髪を引かれる思いだったが、今はとりあえずオーディションの申し込みのことを考えようと思い直し、机へ向かった。
その夜、父さんが仕事から帰ってきて『ただいま、帰ったよ』という声が玄関先から聞こえたなぁと思った次の瞬間、母さんの泣き声と父さんが押し倒される音が聞こえてきたのだった。
仕事で疲れてる父さんに、悪いことしたなぁ……。
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