アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第5voice. はじめてのアフレコ(23)
-
「じゃあ、そうだな……俺様に言い寄ってみろ」
「え、えええっ?!」
「あーだこーだと言って理解させるより、実践したほうが絶対早いような気がする。だから、ほら。やってみろ」
「そ、そそ、そんなこと突然言われても……どうやればいいか……」
「あー……そうか。女から言い寄られたことが無ぇからわからねぇか……」
「すみません……」
困ったような表情で、でも懸命に何か策はないかと思案してくれる音無さん。
そんな姿を見ていると、とても嬉しくもあると共に、とても申し訳ない気持ちになった。
「じゃあ、まぁ……これとは逆になるが、今から俺様がおまえを口説くから。大体の感じを掴んでくれ。わかったか?」
「え、あ…………え? ちょ、音無さ、ん?」
音無さんの言っていることに対しての理解が追いつかずアタフタしていると、突然、音無さんに距離を詰められた。
音無さんがボクの身体を跨いで、そのまま顔を寄せてくる。
「う、あ、あの、音無さん……」
「…………好きだ、奏」
ドキッ、と心臓が跳ねた。
全身に火が灯ったように熱くなって、どうしたらいいかわからない。
「なぁ、奏。おまえも、俺のこと好きだろ……?」
「え、えっ、あの……」
耳元で音無さんが囁く。
いつもより少し低めの声で、ゆっくりとボクの名前を呼ぶ。
演技だとわかっているのに、心臓がバクバクと暴れて上手く言葉を紡げない。
呼吸が、止まりそう……。
.
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
95 / 168