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act.Ⅱ-4 お前は知らないだろうけど
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体育器具庫って第1運動場にしかねーから嫌だったんだよな。
この高校は、第1運動場というメインの広い運動場と、第2運動場というテニスコート3つ分くらいの運動場がある。
第1運動場と第2運動場は階段でしか繋がっていない。
第1運動場に繋がる階段をゴリラと下ると、ハードルを3つほど持った生徒がモタモタと体育器具庫へ歩いて行く姿が目に入った。
あれ?あの生徒、さっきの……?
「あいつらまた間崎に片付け全部押し付けたんだな。」
ボソッとゴリラが険しい表情で呟いた。
マサキ……?
そのマサキくんがハードルをひとつ落としたのが見えて、俺は思わず走り出していた。
「大丈夫?」
近くで見るマサキくんは、背が小さく、肌が白くて、大きな瞳で不安げに俺を見ていた。
「え?」
突然知らない男に声かけられたら、そらビビるよな。
「手伝うよ。」
俺はマサキくんが落としたハードルと、持っていたハードル1つを掴んだ。
「え、あ、ありがとうございます。」
戸惑いながらも小さくペコッとお辞儀をする姿も可愛い。
俺たちは、ハードルを持って並んで歩いた。
チラッとマサキくんの胸元の刺繍を見てみる。
" 間崎 羽純 "
マサキは名字だったのか。
名前なんて読むんだ?
「あの、持ってくれてありがとうございました。もう大丈夫です。」
「そうか。」
いつのまにか体育器具庫に着いていたらしい。
間崎は自分の持っていたハードルと俺が持っていたハードルを片付けはじめた。
じゃあ俺はそろそろ帰ろうかな。
ん?あれ?
向こうに置いてあるのって……。
「なぁ。」
「はい!」
「あの向こうにおいてあるハードルもお前が片付けんのか?」
「あ、はい。そうですけど…。」
まじかよ。まだ10個くらいあるんじゃねーの。
こいつお人好しすぎんだろ。
「ほら、はやくしろ。」
「え?」
「手伝ってやっから。」
「だ、大丈夫で「お前が昼飯食えなくなるだろーが。あと30分しかねーんだぞ。」
「でも…、本当にいいんですか?」
「どうせ俺は暇だから大丈夫だよ。気にすんな。」
人の心配より、自分の心配しろよな。
「……ありがとうございます!!」
ドクンッ……。
え、なに?
なに今の……?
どうした俺!!!
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