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act.11-6
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「先に映画の席、予約しに行くか。」
「はい。」
ショッピングモールは、想像よりはるかに広く、大勢の人で賑わっていた。
シネマエリアは1階の南側で、着くと映画館独特のポップコーンの匂いがする。
映画の時間は、15時25分からを選択した。
「じゃあチケット買ってくるから、待ってて。」
「え、俺も払います!」
「いいから。初デートなんだし、奢らせて。」
「でも…。」
「いいから。」
そう言ってニコニコしながら頭を撫でてくれるので、お言葉に甘えることにした。
「ありがとうございます。」
「じゃあ行ってくるから。」
先輩を待っている間、俺は映画予告のチラシを見ていた。
あ、これ観たいかも。11月か…。
手に取ったのは、ディズニーピクサーの新作映画のチラシ。
でも、先輩アニメ映画とか観なさそうだなー。
秀でも誘ってみよ。
15作品ほどチラシが並んでいて、俺は順番に見ていった。
最後に、端に置いてあった1つの映画のチラシが目に止まった。
「『15年目のクリスマス』か…。」
チラシの裏のストーリーを見てみると、主人公の男性がヒロインの女性に学生の頃からずっと片想いをしていて、想いを告げられないまま女性は遠くへ引っ越してしまう。それでも男性は忘れられず、数年後に偶然再会。それから男性は猛アピールし、片想い15年目のクリスマスに告白することを決意する。男性の恋は実るのか!というラブロマンス映画だった。
ちょっと観たいなぁ。
俺自身、片想いが長かったから少し観たいと思ってしまった。
「何?それ観たいの?」
急に背後から先輩の声がして、ビクッとしてしまった。
「あ、いや!ただ見てただけです。」
俺はなぜか自分の後ろにチラシを隠した。
たぶん恥ずかしかったんだ。
この映画の主人公と自分を重ねてしまったことが。
「なんで隠すの。」
「あっ…。」
ちょっとムッとした先輩からチラシを奪われてしまった。
「"この15年越しの片想いは実るのか?今、ふたりの運命が動き出す!"か……。なんか、俺みたいだな…。」
ボソッとそういうと笑って歩きだしてしまった。
……俺みたいだなって、どういうこと?
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