アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
1
-
幼なじみのアイツの視線に気付いたのは、俺だけだろう。
それは、俺がそれだけそいつを眺めていたからで、それだけ好きだったのだ。
幼なじみの大庭勇樹(おおばゆうき)を。
この片想いが始まったのがいつのことかだったのか、もうわからない。気づいたときには幼なじみとして常に傍にいたから。気づいたときには、心は勇樹で占められていて、思春期の体は簡単に勇樹に反応した。
でも、俺の想いが伝わる日は来ない。
男同士だから、じゃない。
先に体を繋げてしまったから、でもない。
俺が、勇樹しか見つめていないように、勇樹も、ただ一人だけを見つめているからだ。
そして、勇樹の想いも成就する日は来ない。
これは、俺の願望ではなく、現実だ。
勇樹の想い人は、勇樹の実の姉だから。
***
「ヤるぞ」
何の情緒もなく、俺の都合も聞かず、決定事項のように、それだけを言う。
こいつが俺をどう思っているかなんて、愚問だ。
こいつにとって、優先すべきで気を配る相手は、片想いの相手である、ゆり姉だけで。
ただ、潔癖なところもある勇樹が肌を合わせられるということは、それなりに俺に心を許しているということなのだろう。
それを喜ぶべきなのかは、もうわからないくらい、俺の心は麻痺してしまっていた。
すっかり慣れてしまった体は、簡単にぐずぐずと蕩けていく。
「嫌がってた割には、悦んでるぞ、お前のココ」
勇樹に触れられるだけで、俺のペニスは勃起して先走りを溢す。はしたない体、だけど仕方ない。それだけ勇樹が好きだから。
でも、と快楽に流されながら思う。
嫌がったつもりはなかったのに、そんなに顔に出ていただろうか。
言葉少なく、少し乱暴に体を開かれる時、大抵がゆり姉に関して苛立ちを覚えた時で。
その苛立ちをぶつける相手に俺を選ばないでほしいと、最近では思うようになってしまっていた。
元々は、自分がそう仕向けたのに。
***
きっかけは、なんだっただろうか。
勇樹の視線の先に、常にゆり姉がいることに気づき、そしてその熱のこもった視線の意味に気づいて。
これをネタに勇樹と深く繋がれると、暗い歓びに満ちてしまった俺は、すぐに勇樹を誘惑した。
『ゆり姉のこと、抱きたいんだろ?大丈夫、気づいたの俺だけだよ。勇樹さぁ、このままだと襲っちゃいそうで怖いんだろ?・・・だったら、俺にしとけば?・・・俺、ちょっと興味あるんだ。男に抱かれるの、どんな感じだろうって』
中学三年、14歳の俺は、性にルーズで、好奇心もあって。だから、たまたま傍にいた勇樹を誘った。
そんな風に演じた。俺の恋心を知られるわけにはいかなかったから。
俺の恋心を知られなければ、勇樹が俺との肉体関係を終わらそうとしても、ただの幼なじみとして戻れる。
どうやっても、勇樹を失わないために。
勇樹が誘惑にあっさりと乗ったのは、それだけ煮詰まっていたのだろう。それも仕方がないと思う。あの頃のゆり姉は、色々ありすぎて、恋患いというのか、俺から見てもなんとも言えない壮絶な色気を振りまいていたのだから。
それから、4年経った今も、この関係は続いている。
俺の浅はかな思惑は、ある意味成功していた。
勇樹が抱くのは、俺だけだ。
ただ、俺をゆり姉の代替え品にしているだけだけど。
***
「考え事か、余裕だな」
冷たく、蔑むような声に、我に返る。
余裕、なんてあるわけはない。
勇樹に抱かれていると、自分が自分でなくなる。支配される快感に溺れる。今この瞬間だけは、勇樹を自分のものにしたような錯覚に、身も心も溶けてなくなっていく。
勇樹の言葉には何も返さない。勇樹だって、それを求めていない。
代わりに、俺の中にいる勇樹を搾り取るように締めつけた。
「・・・・・くそッ・・」
俺に煽られてくれたのか、舌打ちをしながらも、腰の動きを激しくしていく。
俺は、できるだけ唇を噛み締めて声を出さないようにする。
俺と勇樹の関係が始まった頃、かなり華奢だった俺の体は、未成熟な女の体とあまり変わらなくて。だから、抵抗なく抱いてくれたのだろう。
でも、高校に入ってぐんぐんと成長した体は、もう青年のもので、女と間違えようもない。せめて、声だけは我慢して、勇樹の気を削がないようにしたかった。
どうしても我慢できないときは、シーツや指を噛んで我慢する。
それが、いつものやり方だ。
「ふっ・・・んッ・・・んッ」
もう、終わりが近いのだろう。勇樹の動きがより激しくなる。
激しすぎて、俺のイイところには当たっていない。それでも、勇樹に抱かれている悦びで、俺のペニスもすでに限界で。
「・・・ふぅ、んッ・・・」
「・・・うッ」
大きく突き上げられ、押し出されるように射精する。俺が強く締め付けたことで、勇樹もほぼ同時に俺の中に射精した。
好き───
口を押さえていてよかった。
いつもこの瞬間に思う。
絶対に口に出してはいけない言葉が、口からこぼれ落ちるのを防げるから───。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 37