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朝のひとこま
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カタン…、コト、コト、コトン、コトン。
カチャカチャ、カチャン、カチャン。
ジャー…キュ
微睡みの中で聞こえてくるそんな音達は、なんだかとても心地がいい。
それからすぐにガチャリとドアの開く音がして、人が近づいてくる気配がした。
「おーすけ、朝だぞ」
ぼんやりと耳を掠める声に、それでもモゾモゾと布団を被り直す。
最近は朝も夜も寒いくらいで、リビングへ行けばまだそれなりに温かいけれどそこへ行くまで体が動かない。
「おーい…朝飯冷めるってば…」
ゆさゆさと布団の上から体を揺らされて、さすがにこのままでは靖章が怒り出すかもしれないと意を決して布団から顔を出せば、すぐ近くの距離に靖章の顔があった。
「おぁっ!ビックリした…なに?どした?」
「いや、出てこないから布団引っぺがしてやろうと思っただけ」
そう言ってニッと笑った次の瞬間、チュッと軽くキスをしてくる。
「目が覚めましたか?旦那様」
「は?むり」
「え…うわっ!」
そばにあった左腕をぐぃっと引っ張って、バランスを崩して倒れ込んできた靖章を抱き締める。
「たまにそういう不意打ちされると、可愛くて仕方ないし心臓に悪いのでやめてもらえますかね」
「え…別に、キスなんて数え切れない程してるし今更じゃんか…ってヤメロ、どこ触ってんだ」
「ケツ。…なぁ」
「ふざけんな、朝飯冷めるってば」
「いてっ!違う違う、今日。どこ行くか決めておけって言ったけど、俺に付き合って?」
バシバシと俺を叩く左手を掴んでそう言って、それから薬指へとキスを落とす。
訝しげに細められた目に笑って、今度は俺から唇を合わせた。
「本当はこっそり買ってきて驚かせたかったんだけどさ…指輪のサイズとか正直わかんねぇし、どうせなら二人で選びたいと思って」
「え…」
「指輪。けじめっていうかさ、やっぱりあるのと無いのとじゃ気分的にも違うじゃん。あと、お前に変な虫が寄ってこないようにするため」
左手をギュッと絡めて。
もう片方の手で俺を見下ろす靖章の頬を撫でると、気恥ずかしそうに、でも嬉しそうにその手に顔を擦り寄らせてくる。
それから「ありがとう」と笑ってくれる唇にもう一度キスをして、今度は二人で笑い合った。
「ところで凰祐くん。かたいの当たってる」
「うん、生理現象だから仕方ないね。朝飯、後で俺が温め直すから」
そう言ってゴロンとベッドに押し倒せば呆れたように笑う顔が見えて。
「今日はトーストだから。俺のパン焼き直してちゃんとジャムも塗ってね」
そんな可愛いお願いをしてくる恋人に、何度も何度もキスをした。
END
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