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強情も愛しい
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吉田が帰って秋人と二人になる。
「とりあえず、一通り回ってみましょうか」
「うん、今日は…初めてが、いっぱい」
キラキラと目を輝かせる秋人。近頃の秋人は以前よりスラスラと言葉が出てくるようになったと思う。
俺たちは雑貨屋に入ることにした。大して欲しい物がある訳ではないが、見るぶんには面白い物がたくさんある。
「晶!すごく、気持ちい。欲しい」
「確かに肌触りが……素晴らしいですね」
そこはクッションコーナーで、秋人は抱き枕タイプのくまを抱きしめていた。本当にもちもちしていた。
俺はその抱き枕を購入し、一旦ロッカーへと預けに行き、雑貨屋を後にした。
2人で本屋に向かうべく歩いていると、突然耳をつんざく音が聞こえてきて、思わず顔が歪んだ。
どうやら若者たちが好む『ゲームセンター』だろう。
「…秋人、耳を塞いでいなさい」
あまりに煩すぎて秋人は固まっていた。
「晶、あれは……?」
「あちらは色々なゲームがある場所です。若者が好んで行きますが、行きませんよ」
きっと興味を持った秋人は行きたがる。だがこれで気分が悪くなっては元も子もない。
「……行きたい」
「ダメですよ。さあ、本屋さんに行きましょう?」
秋人にそう促すが、首を横に振るだけで動く様子はない。珍しく駄々をこねているようだ
「………」
繋いでいる手に力が微かに震えていた。
俺は怒っているわけではない。ただ心配なんだ。秋人の辛い顔は見たくないから……
だけど……
「……行って後悔はしませんか?」
この瞬間を好きなように生きてもらいたい。そのためのサポートをするのが俺の仕事だ。
行かないで後悔するより、体験してみるのも良いかもしれない。
それに秋人の主張を無視するなんて、俺には出来ない。
「……いいの?」
「秋人はそうしたいのでしょう?仕方がないので私も付き合います。素敵な思い出にしに行きましょうか」
眉を下げてうすく笑うと、秋人も遅れてはにかんだ。
「わがまま、ありがとう…晶」
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