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地下の鍵
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また土曜がやってきた。秋人はまだ眠ったままで、医者も心の問題だという。
秋人は今……1人で闘っているのかもしれない
俺が相当ひどい顔をしてたのか、英二さんに別室へ呼ばれた。
「晶、心配なのは分かるが食事ぐらいはとれ。お前まで倒れられても困る」
そんなの分かってる……けれど、本当になにも喉を通る気がしないのだ。
未だ死んだように目を閉じてる姿は、俺の脳裏に焼き付いては脅してくるのだ。
『こいつはもうすぐ死ぬぞ』
『もう二度と目を開けることはない』
秋人の看病をしてるあいだずっと脅され続ける。
「……英二さん、俺は、俺は怖いんです」
「待っていたら……待っていたらいつかは目がさめるんですか? そんな確実性がない話……俺はそれに賭けるしかないんですか!!」
「どうして……いきなり倒れた?俺が側にいながら!!秋人の変化に気づいてあげれなかったッ」
英二さんは黙ったまま俺の言葉を聞いてくれた。
震える俺のことをどう思ったかは知らない。けれど英二さんは茶化すことはせず、真剣な顔で口を開いた。
「秋人が無くした記憶を思い出しかけてると聞いた。本当は記憶は全てあるほうがいいのかもしれないが、思い出さないほうが幸せな時もある」
「……なんですいきなり」
一息ついて英二さんは俺に1つの鍵を渡してきた。
少し錆びた金の鍵。見たこともないその鍵は、英二さんの表情から察することができて、ギリっと歯が軋む。
「……秋人の部屋に隠し扉があるの知ってっか?それ地下室の鍵ね」
「知らなかった…です」
英二さんはにっと笑うと、案内してやると歩き出した。
その扉は普通の壁にへこみ部分があり、そこを押すと奥の床が開いた。下へ続く階段が見え英二さんの後をついて行く。
「ここ暗いから足元気をつけろよ」
「はい。あの英二さん…」
「ん〜?なんだ?」
階段の明かりを一個一個灯しながら英二さんは降りてゆく。
「どうしていきなり俺に教えようと?」
後ろから用心しながらついていく。
やっと扉の前に着いたようで、英二さんが振り向いた。
「お前は知っとくべきだと俺が判断したからだ」
……知っとくべき?
英二さんは辛そうに顔を歪ませた。いつも明るい顔が陰ると少しゾッとするものがあった。
「本気で好きなら同じところまで落ちろ。……お前と別れた後の秋人を教えてやる」
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