アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
回想2
-
「…叔母様!!秋人様はまだ5歳です、あまりに酷ではありませんか!?」
まだ17歳の執事長「呉 英二(くれ えいじ)」が声を荒げる。彼が晶を孤児院で見つけ連れてきたのだ。
祖母は動じず、平然と言い放った。
「アレは人間じゃないわ。白い化け物よ。そんなもの外に出すのもおぞましい」
「そんな言い方……地下では何を!?」
そう英二が伺うと、祖母は嫌な笑みをうかべた。
「あら、そんなに気がかりなら見てきていいわよ。そしてあなたが代わってあげたら?」
「失礼します…ッ」
英二は地下室へ向かい鍵を開けた。そこには1人の細身の男と椅子に縛り付けられた秋人がいた。
その光景はまるで拷問じみていて、見ていて気持ちがいいものでは無かった。
男は秋人に何かの暗示のように囁き続けている。
「きみは誰にも愛されていなかった。きみの母も気味悪がっていたよ。この髪色、瞳、何を取っても普通じゃないって…」
精神を抉る言葉を五歳の子どもに吹き込んでいく。けれど秋人も負けじと強く反抗した。
「お母さまはそんな事言わない!!俺のこと一番だって言ってた!!この髪も目も……綺麗だって笑ってた」
「そんなの嘘に決まってるだろ?きみの母はいつも言ってた。顔を見るのも辛い。いっそのこと殺してやりたいと。どうして普通の子が産まれなかったのかって……泣いていたよ」
「そんな事……ない。戯言を言うな…っ!!俺をここから出せ!!お母さまに会う!!」
ジタバタと足を暴れさせ、男を遠ざけた。今にも泣き出しそうな秋人に堪らず英二は駆け寄った。
「…っ秋人様!!聞いてはいけません。あなたの母は……」
「きみの母はもうここには居ないよ。きみを見捨てて遠いところへ逃げたんだ。もう二度と会うことはできない」
その男は下卑た笑顔を見せ、秋人の顔を無理やり持ち上げた。
「あの傷だらけの少年、晶君も面倒が減って嬉しがってるよ」
そして男は秋人の幼い口を蝕むように汚していった。目の前で行われる非道さに、英二は気づけばその男を殴っていた。
「秋人様……秋人様!!」
その薄ピンクの瞳からは心無く涙が流れていた。英二はハンカチで秋人の口を拭いながら、どうしようもない現実に震えることしかできなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
66 / 76