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黒い一面
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「……なんだぁ?そいつ……んな奴いたっけ?」
教室に入ってきた金髪男がそう聞くと、一瞬教室は静まり返り、慌ててだれかが説明した。
「……は?転校生?この時期にか?」
「う、うん。杉田晶くんとこっちが黒田秋人くんだよ」
「…へぇ〜ぇ」
金髪の男はニコニコというよりもにやにやしながら俺たちの方へ歩いてきて、よく通る声で言った。
「杉田くんと秋人くんだっけ?おれは吉田 幸輝(よしだ こうき)!よろしく〜」
「……よろしくお願いします」
「…よろ…しく…」
3人で挨拶したあとに、そいつ……吉田幸輝が秋人にむかって手を伸ばしてきた。どうやら握手をもとめてるようだ
「………?」
秋人は自分に向かってさしだされる手の意味がわからないようで首をかしげた。
「んーあれ?秋人、握手知らねーの?」
……なにいきなり呼び捨てにしてんだ
初対面で、しかもこんな頭悪そうなやつに秋人の名前を呼ばれたと思うと気分が悪くなる。
秋人は困ったようにおれを見上げた。おれは秋人の代わりにその手をとることにした。
かなり嫌だけど……
「えーっ!!俺あんたとじゃなくて秋人がいんだけどー……」
「…すみませんねぇ、生憎そんな汚い手で秋人に触られるとこちらも困るもので」
にこっと笑顔を顔にはりつけたまま、周囲に聞こえないようそう言うと、吉田の顔がスッと鋭くなった。
「……あ?おい今なんつった?」
「ですから、秋人に触らないでほしいと言ったんです」
「べっつにあんたには関係ねーだろ?俺はただ、秋人とトモダチになりてぇだけだし」
「はは、トモダチ?そんなもの他をあたってください。迷惑です」
「あぁ!?てめぇ、ふざけんな!!」
ギリギリと手を繋いだまま2人で言い合っていたら、秋人が恐る恐る口をひらいて、吉田にむかって手を伸ばしてきた。
「…えっ…と、こう…かな?」
「………!?おう、よろしくな〜!!」
「うん、よろ…しく!」
「……」
さっきまでの言い合いがウソのようにその場が和んだ。
秋人の白い小さな手と吉田のごつごつした手が触れ合っている。それだけでムカムカとした感情があふれてきて嫌になる。
はぁ…とため息をついたあと、今だ繋いだままの吉田の手を叩いたところで授業のチャイムが鳴った。
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