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癒し
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「……あー、ん!」
「………」
「ほら秋人、口についてますよ」
「………」
昼休み
おれの目の前でめっちゃ高そうな弁当を食べてる2人は、今日転校してきた杉田晶と黒田秋人だ。
初めてこの2人を見たとき、正直目を奪われた。
あまりに2人が綺麗すぎてだ。
なんだろう。2人の雰囲気というか空気というか
とにかく浮世離れしていた
「……ところで」
ふとおれが物思いにふけってると、いきなり杉田がおれを睨んできて低い声を出した。
「どうしてあなたは私たちとお昼を食べているのですか?」
「はあ?そんなん俺の勝手じゃん?」
「……はぁ 困った方ですね。秋人の教育に悪いので近づかないでくださいとさっき伝えたばかりでしょう」
そう…
授業が終わるたびに秋人のほうへ行ってたら、杉田がウンザリした様子で言ってきたのだった。
「べつに俺の勝手だろぉが!!秋人はおまえのものじゃねぇんだし」
「………」
「な、なに黙ってんだよ、気持ちわりぃな…」
何気なく言い返したら思いのほか杉田は動揺していた。
そんなにキツく言ったか?
居心地が悪くなってどうしたらいいか考えてると、杉田が申し訳なさそうに口を開いた。
「……はい、確かに私には秋人を縛っていい権利も側にいていい資格もありません。
……だけど秋人は私の大事な方なんです!」
……そんななにかに縋るように言わなくてもいいじゃねぇか
こいつがどれだけ秋人に執着してるかはわかったけど、2人の関係を俺はまだ何も知らない
ただの友達ってわけでもなさそうだし…
「あ…っそ、じゃあ悪いやつらから守ってやればいいじゃん。そんな大事ならさ」
「……ふふ、もちろんそのつもりですよ?ですから近づかないでくださいと……」
「その悪いやつらの中におれが入ってるってのか!?ふざけんな!!」
さっきまで落ち込んでいたのがウソのように、杉田は浅く笑った。
安心したような、ずっと戻ってほしくなかったような……複雑だ
俺たち2人がぎゃんぎゃん言い争っている間、秋人はウトウトとお昼寝をはじめていた。
なんか見てるだけで癒されるよなぁ
チャラチャラした見た目のおれが思うようなことじゃないんだろうけどぉ。
頬を杉田の胸に押し付けたまま、トロンとしてる秋人を眺めながら時間が過ぎていった。
すこしだけつまんなかった学校が楽しみになった。
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