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もやもや心
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「秋人、帰りますよ」
「はぁーい。あっ!ちょっとまって」
「……?」
秋人は教室を出て行こうとしている不良……吉田幸輝を指さしていて、仕方なく吉田の所まで連れていく。
「おいお前」
名前を呼ぶのもめんどうだ。
声をかけると、いかにも悪そうな形相をして吉田は振り向いた。
だけど秋人の顔を見た瞬間その表情は和らいだ。
…………
「あ?だれ……ああ秋人か。どしたぁ?」
「えっとねっ…」
「……?」
秋人はキョロキョロと周りを見渡したあと、右手を広げてぶんぶんと左右に振った。
「…ば、ばいばい」
「…っ!!?」
どうやらクラスメイトが別れる際に行う挨拶を真似しているようだ。
ニコッと綺麗な瞳をゆらして笑う秋人に動揺しまくって固まってる不良。
なんだ……このやるせなさは…
「……秋人、もう帰りますよ」
「はぁい。こーき…ばいばいして…くれなかった…」
まだ固まった状態の不良を置いて、校門まで秋人を抱いて歩く。
その間秋人はすこし落ち込みぎみで、シュンとおれの腕のなかで丸まっていた。
「きっと聞こえなかったのでしょう。なにせ『バカ』ですからねぇ」
「バカぁ…?頭におはな…ばたけが、ある…人のこと?」
「ええ、きっと蝶々も飛んでいるのでしょうね」
「ふふふ、明日も…会え…るかなぁ?」
秋人を降ろし、迎えの車に乗りこむ。
チラチラと生徒の視線があったが気にしない。
「ええ、会えたら…いいですね」
なにやら楽しそうな秋人を撫でながら優しく囁いた。
明日なんて……こなくていい
なんて…口が裂けても言えませんね
ニコニコと笑っている秋人を眺めながら、内にある黒い気持ちにイライラした…
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