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過去のトラウマ
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それから10分間練習を続けて、その後に車で学校へと向かった。
「きょーも、こーきに会える?」
車の中で秋人が聞いてきた。おれも笑顔で頷く。
「ええ、きっと会えますよ。ほら着きました」
秋人より先に降り、腰に手をまわし、その体を抱き上げる。
きっと執事姿なら違和感は多少薄れると思うが、今は制服だ。人の視線が刺さってあたりまえ。
でも、秋人はそれが大層気になるらしく、コソッとおれの肩に顔を埋めて隠れようとするんだ。
教室に着き、おれの席へと2人で座る。
すると秋人が周りをジッと見たあとに、おれに小声で聞いてきた。
「……ねぇ、あきら」
「なんです?」
「なんでぼくは…みん、なとちがうの…?」
「……ッ!!」
周りのみんなを見つめたまま、真顔でそう言う秋人は、とても見ていて辛かった。
なんて答えたらいいんだ?どうしても比べてしまうのは仕方ないことだろうけど……
「髪の色も、ぼくは…しろ。目の色…も、あかい。あと、あと…」
「秋人!!」
「……っ!?」
だんだん目がうるんできた秋人にすこし大きめの声を出してしまった。ビクッと肩を揺らし、驚いた様子でこちらを窺い見る。
「す、すいません!びっくりしましたね。大丈夫です、怒ってないですよ。それに他の人達と自分を比べる必要は……」
「……うあ……あ」
少しずつ震えてきて息があがってくる。もはやこの発作のようなものは過去のトラウマからくるのだろう。
怒鳴られたり、暴力、暴言、監禁…
英二さんから聞いた限りではそこまでだけど多分他にも信じられないことがあっただろう。
震える秋人の背中を優しく撫でて落ち着かせる。
丁度一限目が始まり、先生が入ってきたところで、強い力でシャツを掴んでた力がよわまったのがわかった。
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