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秋人の見る世界
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いつもより遅めに目が覚めてしまい、急いで身支度をする。
昨日の報告会……結構長かったしな…くそ
走りはしないが、ささっと長い廊下を進み、秋人の部屋へと急いだ。
いつものようにノックをして扉を開ける。どうやら今日は先に起きたみたいだ。
窓際に立ち、まるで時間が止まっているかのように動かないでいる秋人へ声をかける。
「おはようございます、秋人様。なにを…見ていたんですか?」
そう聞くと、秋人はゆっくり振り向きパクパクと口を開いた。
「……かく…にん」
「確認…?」
「……きょ…も、きこえ…た」
「……??」
今日も聞こえた?
誰か外にいるのだろうか。それとも……
疑問に思い外を見るが、いつもの風景が広がっているだけで人の姿は見えなかった。
そして秋人は小声で掠れるように続ける。
「…おとは………ときど、き…ぼく……を、おいて…いくから……」
そうポツリと呟く秋人。
綺麗だと……思った。
膝を曲げ、秋人と同じ視線になり一緒に外を見つめる。
「……大丈夫ですよ秋人様。音は秋人様を置いて行ったりはしませんよ…絶対に」
すると首のほうに腕が伸びてきてぎゅっと抱きしめられた。
「……うん……………でも、あき、らは…」
「……え?」
最後のほうが小さくて聞こえなかった。聞き返したけれど、首を横に振るだけでもう一度は言ってはくれなかった。
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