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話せない事情
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放課後
「おい、ちょっといいか?」
秋人を連れて帰ろうとしていると、金髪が目立つ吉田幸輝に呼び止められた。
「はい、なんでしょう?」
後ろを振り返りそう聞くと、場所を変えて話したいと言いだした。しかも秋人抜きで。
「無理です嫌ですさようなら」
「ちょ、ちょ、待てって!!おい!!つり目!!二重人格!!聞きてぇことがあんだよ!!!」
……
きっと思いつくだけの悪態をついたつもりだろう。吉田はギャンギャン後ろで吠えた。
俺はため息をつきながら、再度振り返り、スッと目を合わせた。
「申し訳ありませんが……こちらにもいろいろ事情があるんです。あなたのその要望には従えません」
その『事情』の内容は一切話さず、キッパリとそう言うと、そいつは腑に落ちないのかイラついたように黙っていた。
あなたとは住んでる世界が違う。
それはどうしようもない事実で現実で、関わらないほうがこいつの為にもなるだろう。
秋人がこれ以上、傷つかないように……
…もう関わらないでほしい
黙ったままのそいつを置いて、俺たちは学校をあとにした。
校門が見えてきたあたりで、いつも定位置にとめてある黒い車から運転手が降りてくる。
そこまでは良かったが、そのあとに続いて降りてきたある人物に俺は驚きで目を見開いた。
「……伊織…様」
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