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何年ぶりかな
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「伊織…様」
なんで、この人が此処に……?
疑問に思ってると、隣で手をつないでいた秋人がゆっくり前に歩き出した。
「い…おり……にい、さ…ま?」
ぽてぽて歩きの秋人に手を差し伸べて優しく抱きしめるのは、黒田 伊織(くろだ いおり)といって秋人の兄である。
まぁ…兄といっても母方が違うから、血はつながってはいないが…
秋人は久しぶりの再会に戸惑いながらも、抱きしめる手は離さなかった。
どうやら数回しか会っていない兄弟のことは記憶にあるらしい。
「…っ秋人!!元気にしてたか?何年ぶりだろうなあ」
「…う、あ……げんき」
伊織は優しく秋人の背中を撫で、安心させるように笑った。
秋人と並ぶと、その青緑色の瞳が美しく輝き、秋人とは対照的な褐色肌と黒髪がよく映えた。
「…ッ伊織様!?なんでこの様な所にいるのです!確かインドの方へ行かれてたハズ…」
「おおその声は晶か!!久しいなぁ〜」
まるで子供のようにカラカラと明るく笑う。
「あっちの仕事が片付いたからな!日本に戻ってきたんだ。せっかくの休暇だ。本家に戻ってゆっくりしようと思ってな!!」
「は、はあ…そのことは奥様と叔母様には?」
そう聞くと、さっきまでの笑顔を崩し、幼い頃からの慣れた作り笑顔を見せた。
「言ってねーけど、ま、問題ない」
その偽物の笑顔がみせる感情がどんなものなのか……
それは俺なんかが分かるものではなく、ただ少しの冷たさが頬をかすめただけだった。
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