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精一杯
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「…え?あ、きら…?」
首筋をくすぐるように舐めると、秋人は首をコテっと右に傾けてピクピクっと肩を揺らした。
無表情なのは変わってないけど明らかに動揺してるのがわかった。
その姿が可愛くて仕方なくて止めないといけないのに……止まらない。
ぎゅうっと秋人を抱きしめて秋人の胸の膨らみに触れると、ビクッと大きく肩を揺らした。
「…ッ!!や、あき…ら…!!」
「……ッ!!」
「…ッ、あ、」
右頬が、熱い
弱い力で精一杯叩かれた頬は、微かに赤くなっていたが腫れてはいなかった。
その痛みはズシッと重く深く心に突き刺さって、体が動かない。
俺は、おれは……
一体、秋人になにをした…?
泣かせない。絶対この子を傷つけないって
笑顔にする、守るって……
なのに、秋人を目の前にすると、時々自分で歯止めがきかなくなるときがあって怖くなる。
「……あきら」
ああ、秋人が俺の名前を呼んでる
いま、秋人の目を見るのがこわい……
その綺麗な目で汚れた俺を…写してほしくない
「あき、ら…?」
でも、俺を呼ぶのを止めないで……
俺を……必要として…あきと
『…ったく、1人になって泣くのはどっちだよ』
ふと、英二さんの言葉が頭にうかんだ。
あんまりはっきりとは覚えてないけど…
俺が何も言わず俯いてると、ふわっと秋人に抱きしめられた。
びっくりして顔を上げると、澄んだ瞳が俺を捉える。優しくよしよしと頭を撫でられた。
まるで、子どもを落ち着かせるように
「あきら、泣かないで……たたい、て ごめんな、さい」
「…っ泣いて…ない、ですよ?」
「……」
「…あきと……ありがとう、ございます」
何も言わないで頭を撫でてくれてる秋人に掠れ気味に声をしぼり出す。
いまの俺にはそれが精一杯で、秋人の精一杯の優しさに甘えることしかできなかった。
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