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月は…
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「秋人?ど、どうしたんだ!?」
びっくりして俺も二人の側まで行き、秋人の顔を覗き込むと、カタカタと震えながら俺を見た。
「あ…あ、ァ……は」
まだ呼吸が整ってない
杉田が優しく背中をさすってはいるけど、ずっと杉田にしがみついて治らなかった。
可哀想なくらいに震えてる秋人を見てると俺が守ってあげたくなる。
俺が秋人の頭に手をのばしかけると、杉田が口をあけた。
「暗いのが……ダメなんです」
「え?」
伸ばしかけた手を元の場所にもどす。
暗いのがダメ?そりゃ俺も好きじゃないけど怯えるほどって……
「あれか?ナントカ恐怖症ってやつ?」
「……まあ、そんなところです」
ゆっくりゆっくり背中をさする杉田。
まるで宝物みたいに扱う。
「ふっ…うぅ……も、へい…き」
肩で息をしながら秋人が言った。
「……わりぃ秋人。じゃあ今日は電気をつけて寝よーぜ、それならいいだろ?」
「でんき?…おつ、き…さま、がいい」
「月?なんで月なんだ?ぜったい電気のが明るいぜ?」
訳が分からず首を傾げてると、秋人がスッと窓の方を向き、綺麗な瞳で再度俺を見た。
「 」
一瞬、息ができなかった
いや……仕方を忘れたんだ。それほどに俺の方を振り返ったときの秋人の微笑んだ顔が怖いくらいに綺麗だったんだ。
そして秋人のさっきの言葉が頭から離れて消えてくれない。
息をするのを忘れる少し前……
異世界を感じさせるような雰囲気で、秋人が笑う。
「月は……ぜった、い…ぼくを、うら…ぎらな、いから」
そしてそう言った秋人を杉田は瞳を暗くして見ていて、俺はなぜかすごくズキっと心が痛んだ。
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